大阪の基幹病院がサイバー攻撃で機能不全に陥っている。電子カルテなど病院の電子化が進む中、セキュリティ対策は待ったなしだ。
「無関係な人の命が関わる病院を狙うなんて、最悪、最低やわ」
大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)を母の付き添いで訪れていた女性は憤る。
同病院は10月31日にサイバー攻撃を受け、電子カルテや薬の処方、それに会計といった病院経営に欠かせない基幹システムがダウン。外来患者の新規受付をストップしたほか、11月9日時点までに80件近くの手術を中止し、近隣の病院に転院する患者もいるなど、影響は甚大だ。
先述の女性は、がんが再発した母親に新たな薬を処方してもらうため、サイバー攻撃の翌日に病院を訪れた。しかし、電子カルテが使えず、医師が患者の副作用リスクなどを正確に判断できないことから、新たな処方は延期され、現在服用している薬を追加でもらうこととなった。
「12月に予約をとったが、その時に(新たな)薬が処方できるかわからないと言われた」と不安そうに話す。
高度救命救急センターの役割果たせず
大阪急性期・総合医療センターは、床数は約900床、職員数約1500人という大規模な病院だ。加えて、大阪府で唯一の基幹災害医療センターかつ、府内に3カ所ある高度救命救急センターの1つを担う、まさに地域医療の要でもある。
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