病院のWebサイトが美しくてもほぼ意味ない訳 最低限の見た目で予約ができれば患者は満足

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グーグルで「エリア×科名」と検索した場合、上位に表示されるのは「グーグルマップ」である。グーグル検索はユーザーの求めるページを上位に表示するが、確かにユーザーにとっては個別の病院のWebサイトを1つ1つ見せられるよりも、近隣の病院を一覧できるグーグルマップに入ったほうが便利だろう。こうして大半のユーザーは、個別の病院のWebサイトなど一切見ることなく、検索から一直線にこのグーグルマップに吸い込まれていく。

グーグルマップを開いたユーザーは、まず地図を見て自分が行ける範囲に対象を絞る。次に、口コミの評価が高いものから順に見ていく。この時点で評価が3.0を下回る病院や、評価が数件しかない病院は無視される。病院個別のWebサイトをどれだけ飾りつけようが、グーグルマップの口コミが悪ければ選択肢から除外されるのだ。

口コミの評価が高い病院でもユーザーは鵜呑みにしない。評価の中身を読み、その信憑性を確かめる。ポジティブな口コミは話半分に読むが、ネガティブな口コミは細かく読み込む。このとき、ネガティブな口コミに対して、病院側が返信していなければ、都合の悪いところを指摘されたのだろうと、その口コミを信じてしまう。

病院側が的確に返信をしていれば…

逆に病院側が的確に返信している場合は、病院の株が上がることもある。例えば、患者側が「希望する施術を受けられなかった」と口コミしたことに対して、病院側が「希望に応えられなかったのは申し訳ないが、◯◯の理由で適切な施術をしたまでだ」と回答していれば、誠実かつ安心できる病院だと認識されるだろう。

さらにグーグルマップには、病院の写真、得意な領域などさまざまな情報を掲載できる。これらの情報をさらっと確認し、ユーザーは候補を1~3個に絞り込む。約半数のユーザーはグーグルマップ内の情報だけで病院を選び、直接来院する。病院個別のWebサイトに訪れることはない。残り半分の細かく情報収集したいユーザーは、最終確認のためだけに病院個別のWebサイトに訪れる。

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