39歳コピーライターが「ゆるスポ」発案した経緯 子どもの障害発覚を機に仕事の在り方を改めた

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変わったというと、余計な自我を仕事に持ち込むというのはいっさいやめようと決めたこと。それで、まず自分に対する企画書を書くことにしたんです。

──それは自分から自分に向けたプレゼンということですか。

そう。まず「御中」と書き出す。「澤田智洋がクリエイティブに働くには 企画提案=澤田智洋」と。やってみて気づいたのは、クリエーターと名乗っているけれども働き方はガチガチだなあ。一番やるべきなのは「自分の働き方をクリエートする」ことじゃないか。つまり既存の働き方をゆるめるという話なんですね。

それで初めにやったのは、自分の働き方をゆるめる。そこからスポーツをゆるめる。福祉の世界をゆるめるということをやりだすんです。

いまみんなに勧めているのは「働き方の企画書」づくり。まずクライアントありきの考え方をやめ、これまで10年積んできたキャリアを見直してみる。あなたは無意味だと思っているかもしれないことが、組み合わせの相手によってそのスキルが生きてくることがあると言いながら。

息子が2013年に生まれて、ほぼ1年使いものにならなかったんですが、その年末か翌年ぐらいから書き始めて、いまも古くなったと思うと更新しています。

切り替えるために「自分に対する企画書をつくる

人に見せると思うとホンネのままに書けなくなるから人には見せないものらしいが、「取材だからいいか」とアップしてもらったノートパソコンの画面を見せてもらった。

これは「自分の得意技」を知る。自分がスーパーマンだとしたら、どんな得意技があるだろうというのをあげていくんです。

「自分の得意技」を8つ掲げ、つねに更新しているという (筆者撮影)

──8つあげられている後ろのほうに「仁義を大事にする」というのがありますね。

職場の約束はぜったい守るということですね。実はこれ数が大事なんです。自分をスーパーマンに見立てるのに3つしかないと表層的なもので終わってしまう。だけど8つともなると、これはしぼり出さないといけない。

たとえば、通信会社に勤めている人は通信技術を普通だと思っていてもほかの業界で働いている人にとっては宝になる。「仁義」もしぼり出したものだけど、そういったものをしぼり出すことが大事なんですね。

──意外というか驚きなのは一番に「息子の障害」が出てくるんですね。得意技になるんですか。

1年ぐらいごとに更新していて、これは最近書き直したんですが、いまの僕の武器はコレなんです。家族に障害者がいて、なおかつ障害者の友達も多いから当事者のことをめちゃくちゃよく知っている。福祉の世界はナイーブで、障害者のことをどこまで企画にしていいのかわからない。でも、僕はある種「なかの人」なので企画を立てるときに強みになっている。

──ということは昔の企画書の1番はどんなのだったんですか。

「ギャグ力」と書いていましたね。さっき話したエビメタバンドとかやっていたこともあって「作詞・作曲」というのも入っていた。実は「コピーが書ける」というのはずっと下のほう。

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