婚活で結婚に繋がる接し方、繋がらない接し方 どうしても減点法になってしまう「お見合い」

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「いいなと思うお相手に出会えたら“選んでもらおう”とただ待っているだけではダメですよ。“選ばれる努力”をしないといけないの」とは、私がいつも会員たちに言っていることだ。しかし、この“選ばれる努力”をするのがまた難しいのだ。

「結婚」を連発されたのが重たかった

こんな例を紹介しよう。

真弓(仮名、37歳)は、入会したときから、婚活することにひたむきで、“選ばれる努力”をすることを惜しまない女性だった。私を訪ねてきたのには、こんな理由があった。

「実は、義理の姉が5年前にこちらで結婚をしているんです。その結婚相手が私の兄なんですよ」

真弓は、当時39歳で入会してきた優子の義妹だった。優子は、お見合い3人目で真弓の兄、淳太(仮名、当時39歳)と出会い、そこから2カ月半で成婚退会をしていった。退会した4カ月後には妊娠がわかり、男の子を出産。その1年後にはまた妊娠をして今度は女の子を授かり、5年間のうちに4人家族を築いていた。

「兄夫婦は、今もラブラブで幸せそうなので、私も続きたいです!」

こうして、真弓の婚活がスタートした。

初めてのお見合いは、自営業の章弘(仮名、39歳)だった。ちょうど緊急事態宣言期間中で、婚活者がリアルに会って見合いをしたがらない時期だったが、2人は、「オンラインお見合いよりも、実際に会いたい」とホテルのティーラウンジでお見合いをした。実は章弘も私の会員で、“2人は相性が合うのではないか”と、私は感じていた。

お見合いを終えた真弓が言った。

「話も面白いし、ユーモアのセンスもあるし、素敵な方でした。ぜひ交際希望でお願いします」

章弘からも、「明るくて楽しい人でした」と交際希望が来て、2人は交際に入った。兄夫婦の成功例を見てきているので、真弓はこの交際にとても意気込んでいた。

「2人の距離を縮めるためには、たくさん会わないとね。連絡もマメに取ってね」

2人にこう伝えてあったので、LINEは毎日しあい、お見合いの4日後には仕事終わりに、軽く食事デートをしたようだった。

そしてその週末は、郊外へのドライブデート。ところが、この2度目のデートの後に章弘から、「交際終了」がきた。お見合いを入れたら3回目。婚活が成功するかどうかの分かれ道となる“飲食3回の壁”が越えられなかった。

章弘のお断りの理由は、こうだった。

「せっかくご紹介いただいたのに、申し訳ありません。前回も今回のデートも、真弓さんの会話には、“もし結婚したら”という言葉がよく出てきたんです。ドライブに出かけたときは長時間一緒だったので、その言葉でちょっとお腹いっぱいになってしまった。『もし結婚して子どもが生まれたら、家族でドライブしたい』とか、『もし結婚したら、こんな料理を作りたい』とか。さらに、お土産に手作りクッキーまでいただいて、なんだか重たく感じてしまいました。このまま結婚に進めなかったら、彼女に申し訳ないので、早めにお断りしたほうがよいかと思ったんです」

その手作りクッキーも、「バターが買えなくて、スーパーを3軒ハシゴしてようやく買えた」とのことだった。ちょうどそのとき、緊急時短宣言期間中で、スーパーから小麦粉とバターが消えていたのだ。真弓にしてみたら、章弘に喜んでほしい一心だったのだろう。私が言うところの“選ばれる努力”を一生懸命にしていたのだ。

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