新型「BRZ」がキープコンセプトで登場した理由 基本設計の踏襲はカスタム派ユーザーには朗報

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サスペンションやタイヤサイズがそのままということは、BRZのカスタムをしていた初代オーナーや社外品メーカーにとっては朗報だろう。旧型のカスタムで培ってきた知見がそのまま生かせるからだ。初代BRZは、そうしたカスタムも魅力の1つであった。

カスタマイズを前提とした「R Customize Package」も用意された(写真:SUBARU)

毎年、富士スピードウェイで開催される「FUJI 86 STYLE with BRZ」には、1つとして同じ仕様がないと言えるほど、さまざまなカスタマイズが施された86/BRZが全国からやってくる。新型BRZに進化するにあたっても同じサイズを維持したことは、そうしたカスタムの配慮もあるだろう。

基本コンセプトとプラットフォームとサスペンションまわり、そしてタイヤサイズが同じであることから、新型BRZの走りの特性も、旧型の延長線上にあることが予想できる。

基本を守りながら磨き上げたフルモデルチェンジ

新型BRZの変わったところと、変わらないところを列挙してみれば、以下のようなものとなる。

<変更点>
・内外装のデザイン変更
・エンジンの排気量拡大による出力向上
・ボディ剛性の向上
・デジタルメーター、最新インフォテインメント採用
・AT仕様車にアイサイトを採用

<変更しなかった点>
・低重心のハンドリングマシンというコンセプト
・プラットフォーム
・サスペンション形式とタイヤサイズ

つまりは、クルマの根幹となる部分はそのままに、BRZらしさを磨き上げ、さらに最新インフォテインメント機器とアイサイトを追加した、ということ。基本性能を引き上げたうえで、安心という付加価値を追加したのが、今回のフルモデルチェンジだ。

これまでの延長線上にあるため、大きく販売台数を伸ばすことは考えにくいが、これまでと同様に一定のファンを獲得し続けることができるはず。そういう意味では、堅実なフルモデルチェンジと言えるのではないか。

ただし、個人的には、MT車にもアイサイトを採用するべきだったと思う。ここだけは、新型BRZで唯一、残念な部分だ。今後の年次改良での採用を望む。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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