「腰が重い」プロ野球界、コロナで変化したワケ

歴史的なJリーグとの連携、徹底的な感染対策

もう1つは、球場で、NPB主導でかつてない厳しい感染防止対策を施したことだ。これまでNPBでは、球場での顧客へのマネジメントは、各球団の裁量にゆだねられていた。

Jリーグでは人種差別的なヤジなどマナーを逸脱した観客には出入り禁止など厳しいペナルティを与えるが、NPBではそうした規制はほとんど行ってこなかった。しかし今回のNPB各球団は目の色が変わっていたという印象だ。

ナゴヤドームでの検温待ちの列(写真:筆者撮影)

筆者は観客が5000人に制限されていた時期から各球場で、観客として30試合ほど試合を見た。すべての球場で、全観客に検温を実施していた。入り口やゲートでは手指の消毒が求められた。

また入場時には接触確認アプリ「COCOA」や各自治体のコロナ追跡アプリのダウンロードを求められた。客席は間隔が空き、観戦中は飲食時以外はマスクの着用が求められていた。

最後まで緊張感が緩まなかった感染症対策

各所に警備員が配置され、マスクを外した客がいれば近寄って注意をしていた。京セラドームでは「鼻出しマスク」の観客にも警備員が注意していた。

またマツダスタジアムでは、入場時にマスクをしていない観客は入場できなかった。フェイスシールドだけ装着している客も入ることができなかった。この球場では、グラウンドに背中を向けて警備員が常時客席に目を光らせていた。

マツダスタジアム前の張り紙(写真:筆者確認)

ビールなどの売り子もマスクの上からフェイスシールドをつけて、声を上げることなく販売していた。マツダスタジアムでは金銭授受の担当とビールを注ぐ担当の2人一組でビールを売っていた。採算を度外視してサービスを提供していたのだ。

球場内では球団の応援歌は流されていたが、多くの球場では観客が一緒に歌わないように、歌詞のテロップを外していた。さらに、多くの球場では、退場の際も3密にならないようにゲートごとに「分散退場」を実施していた。

球場は緊張感に包まれていた。感心したのはその緊張感が、7月10日に上限5000人で観客を入れた時期から、シーズン最終盤の11月初旬までずっと維持されていたことだ。

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