ワシントンポスト紙によると、夜にはプラウドボーイズとバイデン氏支持者が乱闘するなど衝突が相次ぎ、銃の不法所持などで20人以上が逮捕され、1人が刺され、警官4人が負傷したという。
この日の集会で選挙の不正とともに叫ばれたのは、銃規制反対や人工妊娠中絶反対、信教の自由、反社会主義といった共和党支持者が伝統的に重視してきた主張だ。
こうした価値観を共有するキリスト教福音派などの白人保守層や、「ラストベルト(さびついた工業地帯)」に象徴される既存の政治に不満を抱えた白人労働者などが、トランプ氏を支えてきた。トランプ氏も、連邦最高裁の判事に保守派を指名したり、ワシントンで開かれた人工妊娠中絶反対集会に現職大統領として初めて参加したりと、支持層の期待に応え、コロナ禍で死者が24万人を超えても、経済が大打撃を受けても、支持率4割を堅持する固い岩盤をつくってきた。
「FOXニュース」へのむき出しの敵意
一方、いつもと違う場面もあった。トランプ氏に肩入れしてきた保守系メディア、FOXニュースへのむき出しの敵意だ。支持者らは「CNN最低!」という定番の掛け声の後、「FOXニュース最低!」と連呼し、壇上の男性が「当選者を決めるのはフェイクメディアではない。われわれだ」と訴えると大歓声が上がった。
発端はFOXが投開票日の3日夜、他メディアに先んじてアリゾナ州でのバイデン氏勝利を報じ、トランプ氏が激高したことだ。さらに7日、バイデン氏当確を報じる主流メディアにFOXも足並みをそろえたことで、支持者の怒りと不信が増幅した。
FOXとトランプ氏に隙間風が吹いたり、ツイッターやフェイスブックがトランプ氏の発信内容を逐一チェックして警告文を添えたりする中、支持者は既存メディアへの不信感を一段と強めている。
主婦ナターシャ・レイトン(35)のスマホには、FOXの代わりに保守系メディア「ニュースマックス」、グーグルのような検索サイト「ダックダックゴー」、フェイスブックの代替に「ミーウィー」、ツイッターに似た「パーラー」、ユーチューブのような「ランブル」という代替アプリが一式入っている。
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