映画「親切なロシア料理店」で知る人々の優しさ 「まわりの親切な手」を頼るのも正解のひとつだ
この店を立て直すためのマネジャーとして雇われたのは、刑務所を出たばかりの謎だらけの人物であるマーク。店のオーナーはといえば、「ロシア語なまりにしたほうが客に受ける」という理由から、ニューヨーク育ちでありながらも怪しいロシア語を操る。だがそれ以外はまったくやる気がない。
主人公のクララを演じるのは、『欲望という名の電車』『エデンの東』などで知られる映画監督のエリア・カザンを祖父に持つゾーイ・カザン。ブロードウェイで舞台女優として活躍していた彼女は、2000年代後半から映画女優として活動し、話題作にも続々と出演している。
また、2012年には脚本・主演・製作総指揮を務めた『ルビー・スパークス』で注目を集めた。その他、アンドレア・ライズボロー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、タハール・ラヒム、ビル・ナイら国際色豊かなキャストが極上のアンサンブルを見せている。
見知らぬ人を信じてほしい
本作の監督、脚本、製作総指揮を務めたロネ・シェルフィグは、2000年の『幸せになるためのイタリア語講座』で、第51回ベルリン国際映画祭銀熊賞をはじめ、数々の賞を獲得し、世界的に脚光を浴びた。
その後も2009年の『17歳の肖像』は、年上の男性との恋愛に目覚める少女を描き出し、第82回アメリカアカデミー賞では、作品賞、主演女優賞(キャリー・マリガン)、脚色賞の三部門にノミネートされた。2011年のアン・ハサウェイ主演の『ワン・デイ 23年のラブストーリー』でハリウッドにも進出。お互いに惹かれあいながらも友人関係を続ける男女の23年間をせつなく描き出した。
「この映画の構造は、他人同士がどんどん近づき、ひとつにまとまり、それぞれにとってかけがえのない人になったり、恋人になったり、理解者になったりすること。映画を観た人には、登場人物のメッセージを聞き、優しさを感じて立ち上がり、まわりの見知らぬ人を信じてほしい。特に魅力的と思っていなかった人が実はあなたの近くに来て重要な存在になるかもしれない。そして希望は楽観主義的なものではないということね」と語るシェルフィグ監督。
本作は、本当のしあわせを求め続ける人たちにエールを送り続けてきたシェルフィグ監督の集大成ともいうべき作品となった。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら