「韓国の人気YouTube」が配信停止になった理由 ネット民が「出演者の過去の悪行」を晒す事態に

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ビデオ通話で知らない者同士1:1の映像チャットと思いきや、実はその映像が録画されている。相手の女性は全裸や半裸状態なことが多く、話しかけているが音声が聞こえない。被害者の男性が「音声が出ない」と文字で伝えると、女性は「音声アプリダウンロードして」などと言われ、リンクを送信してくるという。

ダウンロードの画面をクリックすると同時にスマートフォンの中の個人情報が抜き取られ、1:1で行っていた恥ずかしい行為の動画をネタに脅迫が始まるという仕組みだ。これ以外にも様々なルートを用いて仕掛けられる罠があるが、基本的に許可なく撮影された動画や画像を元に行われる詐欺は「モムキャムフィッシング」と呼ばれている。

『偽物の男』出演の人気教官ローガン氏は、この色仕掛けの詐欺に引っかかってしまったそうだ。その画像を、フォロワー数33万人をもつ「チョン・ベウ」というまったく関係のない男性ユーチューバーが、自身のチャンネルの生配信中に写真を公開し騒ぎとなった。今被害が深刻化している詐欺行為の証拠ということで、配信日の翌日である先月15日には、早速ソウル江東警察署が捜査を開始している。警察は、チョン・ベウを不法撮影物流布及び名誉毀損など疑いで捜査し、正式立件可否を決める方針であると発表した。

リアリティ番組の出演者は創作された「登場人物」

警察まで巻き込む騒ぎとなった『偽物の男』だが、20日のMUSAT Incの発表によると、妊娠中だったローガン氏の奥さんは、一連の騒動によりストレスで流産してしまったそうである。ローガン氏は、今回の関係者を民事と刑事事件両方で訴える構えを見せている。

ここ最近リアリティ番組出演者への誹謗中傷が後を絶たない。今の時代、検索サイトを使えば個人情報やSNSでの過去の発言を誰でも簡単に見つけることができるために、一部の悪意を持った視聴者は出演陣の荒さがしをし、拡散することに必死なようだ。

生まれてからこれまで、何の罪も欠点もない人なんていないだろう。何か小さな糸口が見つかれば、世間は一斉に出演者叩きに走ってしまう。視聴者は、リアリティ番組も所詮作られたフィクションであり、登場する人たちはあくまで創作された「登場人物」であることを頭に入れて視聴する必要があるのではないだろうか。

『ニセモノの男(가짜사나이)』でカリスマ的人気を誇った教官イ・グン氏については、国会の国政監査に招喚すべきと言い出す国会議員まで出る始末......(動画:JTBC News/YouTube)

こちらが本家『本物の男』。BLACKPINKのリサが出演した『本物の男 300』(動画:KOCOWA TV/YouTube)
 
ウォリックあずみ
映画配給コーディネーター。
20歳で渡韓、2002年韓国ソウル芸術大学映画学科に入学。2005年から韓国の映画会社入社、2008年より映画バイヤーになる。2016年に帰国、2017年よりアメリカ・ワシントンDC在住。
「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

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