静岡リニア「非公表資料」県は守秘義務違反か 非公表資料を県はJR東海に無断で公表したのか
2018年11月21日の会議に、JR関係者は出席を求められていない。JR東海に確認したが、ホワイトボードへの掲示について県からの意見照会もなく、まったく承知していなかったのだという。資料をホワイトボートに全面公開したことは、JR東海の許可を取らずに、県が無断で行ったことになる。
県は「借用書」で目的、使用範囲、条件を遵守することを約束したにもかかわらず、JR東海との約束を破り、誰もが写真撮影できるような場所に掲示して「全面公開」したことになる。県担当者及び責任者は、地方公務員法第33条(信用失墜行為)、同34条(守秘義務)違反を免れない。もし、罪に問われれば、34条違反は懲役1年以下又は50万円以下の罰金という罰則が科せられる。
副知事はなぜ、非公表資料を「全面公開」と発表したのか?
考えられるのは、「大井川直下の断層」問題を有識者会議の結論で終わりにしたくないからだろう。県リニア担当理事も近く、県専門部会を開き、改めて「大井川直下の断層」について議論する意向を明らかにしている。
JR東海の資料データを県から提供され、「大井川直下の断層」が問題と指摘してきた塩坂邦雄・県専門部会委員は「リークしたのは自分ではなく、2018年11月の会議でホワイトボードに掲示されていた資料を記者が写真撮影したのではないか」と副知事と同じ説明をした。塩坂委員に、県専門部会で「大井川直下の断層」の疑問を主張してもらうために、副知事は県担当者が守秘義務違反に問われても仕方ないと考えたのかもしれない。
流域市民が工事差し止め訴訟
大井川流域の市民らが10月30日、JR東海に対して、リニア静岡工区の工事差し止め訴訟を静岡地裁に起こした。
請求原因は、ほとんど静岡県の主張に沿ったものである。訴状には、9月10日付静岡新聞報道を取り上げて、「専門家が指摘してきた大井川直下の褶曲地層に大量の水が貯留していることを知りながら、その事実を有識者会議にも専門家会議にも報告せず、(JR東海が)隠ぺいしてきたことが明らかになった」と記されている。これだけ事実を歪曲されれば、県民の不安は解消されないだろう。
同紙記事に「JR東海が隠ぺいした」とは書かれていないが、同紙の報道による影響を見れば、JR東海があまりに大きな不利益を被ったことは確かである。
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