泥沼のGM、リコールが1500万台に拡大 トヨタを上回る規模、費用は1700億円以上

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GMの費用負担はどこまで膨らむのか。

今年第一四半期(1~3月期)にGMはリコール対応のため、13億ドルの予算を計上。リコール拡大のため、第二四半期(4~6月期)にはさらに4億ドルを追加し、合計で17億ドル(約1700億円)に達している。が、リコール台数が1500万台に達した今、さらに積み増す可能性が高い。リコールで品質に対する疑念が高まったため、新車開発費、セールスマーケティング費もかさむと予測されている。

また、GMに対しての訴訟も増えている。事故被害者による損害賠償請求、一連のリコールにより車のリセールバリューが下がった、とするオーナーによる集団訴訟、さらに事故被害者によるリコール隠しの民事訴訟まで起こされている。

政府管理下に逆戻り?

民事訴訟だけではない。司法省による刑事罰を受ける可能性もある。トヨタの場合、今年3月に12億ドルで和解が成立した。が、GMは刑事訴追でリコール隠しの実態が追求され、当時の首脳陣から逮捕者、懲役刑が出るのでは、と見る向きもある。司法省との和解になったとしても、運輸省の罰金と同様、トヨタのそれを遥かに上回る金額になることは間違いない。

業界内ではGMの総支出は2009年に政府管理企業となってから現在までにGMが生み出した総利益(純利益で164億ドル)を打ち消す規模のものになる、との声もある。昨年ようやく政府管理から脱したGMだが、数年後には再び、GM=Government Motors(政府の自動車会社)に逆戻り、と揶揄する論調まである。

泥沼と化すGMのリコール問題。まだ底は見えていない。

(撮影:ロイター/アフロ)

土方 細秩子 ジャーナリスト

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ひじかた さちこ / Sachiko Hijikata

アメリカ在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、アメリカの社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス滞在経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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