「007最新作の配信」をAppleがあきらめた理由 あまりにも法外すぎる「権利料6億5000万ドル」
ジェームズ・ボンドの次の活躍はiPhoneの画面で見る? にわかには信じられないことが舞台裏で話し合われていた。結果的には実現しなかったが、そこにはコロナ禍でハリウッドが置かれた複雑な状況が表れている。
ロサンゼルス郡やニューヨーク市では、いまだ映画館の再開が許されていない。ヨーロッパでも再び感染が拡大する中、ハリウッドのスタジオは莫大な予算をかけて作った映画の公開を延期したり、配信でのリリースに切り替えたりしている。
「007」シリーズを製作するMGMも、最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開を、まず今年4月から11月21日に延期。10月に、さらに来年4月2日まで延期することを発表した。
「007最新作」を買おうとしたApple
各メディアが報じるところによれば、再延期を決める先立ってMGMは、Netflix、Apple、Facebook、Amazonなどに、今作の配信権を買わないかと持ちかけていたという。とりわけAppleは乗り気で、12ヵ月の配信契約料として3億5000万ドルから4億ドル(およそ350億円から400億円)を提示したとされる。
しかし、MGM側が希望した金額は倍近い8億ドル。妥協したとしても6億5000万から7億ドルで、提示額と開きがありすぎたことから、契約は成立しなかった。一方でNetflixは、たった1本の映画の権利にそこまで出すのは「意味がない」と、オファーに応じなかったそうである。Facebook、Amazonはノーコメントを通している。
コロナで3月に映画館が閉まって以来、ハリウッドのメジャースタジオは、いくつかの映画を配信に切り替えてきた。ディズニーは、この秋に『ムーラン』をDisney+で配信。最近も、11月下旬に北米公開予定だったピクサーの『ソウルフル・ワールド』をクリスマスに配信することを決めた。
ワーナー・ブラザースはロバート・ゼメキス監督、アン・ハサウェイ主演の『魔女がいっぱい』を系列のHBO Maxによる配信に振り替えている(日本では12月に劇場公開予定)。パラマウントは『星の王子ニューヨークへ行く』の続編をAmazonに売却し、12月に配信予定だ。
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