「スマホばかり触る人」が見逃す筋肉のサイン 元格闘家が実践する「疲れた心を整える」筋トレ

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2つ目と3つ目のポイントは誰もが知っている「腕立て伏せ」で説明しましょう。腕立て伏せのやり方がまったく想像できないという方は、あまりいないと思います。でも、正しいフォームで行っている方はほとんどいません。

まず、みなさんに知ってもらいたいのは腕立て伏せの目的です。腕立て伏せで強化したいのは、胸の筋肉(大胸筋)。そのため、腕立て伏せでは大胸筋を意識しながら大きく収縮させ、何よりも大胸筋に効いていることを感じることが大切です。

そこでポイントとなるのが、手を置く位置。これを誤ると違う筋肉(主に上腕三頭筋)へ負荷が分散してしまうため、ラクなトレーニングになってしまいます。人間は無意識につらいことを避けようとするので、体の使い方が上手な人ほど、腕立て伏せを体全体で行ってしまい、結果的に回数へ目的意識が向かいがちです。

筋トレもビジネスと同じで、目的を見失わないことがとても重要です。正しいやり方で腕立て伏せを行えば、人によってはたったの5回でも十分な効果が得られます。決して「回数の問題ではない」ということをぜひ実感してみてください。

筋トレは「マインドフルネス」

最後に筋トレそのものについてです。常々わたしは「筋トレはマインドフルネスだ」ということをみなさんにお伝えするようにしています。わたしたちは、「いま」という瞬間を生きています。しかし実際には、過去や未来のことを考えてしまい、「心ここにあらず」の状態で過ごしていることが多いのではないでしょうか。

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とくに、常にスマートフォンが手元にあり、いつでもインターネットとつながっている現代社会では、絶えず情報に触れているため、わたしたちの意識が「いま」に置かれていることは非常に少なくなりました。

このような「心ここにあらず」の状態から抜け出し、心を「いま」に向けた状態のことを「マインドフルネス」と言います。そして、「いま」に意識を置くことができると、幸福感を高めることができると言われています。

マインドフルネスの世界では、瞑想や座禅などで「いま」に意識を向けますが、実はこの マインドフルネスの状態をつくるのに有効なのが筋トレだと、わたしは考えます。

なぜなら筋トレは、これまで紹介してきたように、鍛えたい筋肉に意識を集中しながら行うからです。筋トレをしているときに「明日の仕事、嫌だな」と思うことはありません。鍛えたい筋肉に集中し、「この短い時間を使って、いかに効率的に筋肉に負荷を与えるか」を考えています。つまり、わたしにとって筋トレという作業自体が、マインドフルネスなのです。

先ほど紹介した腕立て伏せもあまり難しいものではありません。肝心なのは自分に合ったペースで、鍛える筋肉に意識を集中して行うこと。自宅でも職場でもスキマ時間でOK、筋トレがあなたの人生を豊かなものにしてくれるかもしれません。

大山 峻護 元総合格闘家・企業研修トレーナー

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おおやま しゅんご / Oyama Shungo

1974年生まれ。5歳より柔道を学ぶ。全日本実業個人選手権81キロ以下級優勝。2001年プロ格闘家に転身。アメリカのキングオブザケージでマイク・ボークを右ストレート一撃17秒で倒す。PRIDE初参戦の「PRIDE.14」ではヴァンダレイ・シウバと対戦。「PRIDE.21」ではヘンゾ・グレイシーを破る。「HERO'S」でピーター・アーツなど強豪から勝利を収め、2012年にROAD FC 初代ミドル級チャンピオンに輝く。引退後、企業向け人材育成サービスを提供するエーワールドを設立。現在は格闘技を応用した研修プログラム「ファイトネス」で高校、大学の教育機関、スポーツチーム、企業でチームビルディング、メンタルタフネスの企業研修を実施している。

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