小沢代表に告ぐ、解散時期にこだわらず、政権担当能力に磨きをかけよ

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小沢代表に告ぐ、解散時期にこだわらず、政権担当能力に磨きをかけよ

今年は「総選挙の年」といわれる。解散・総選挙がいつ行われるかは、政界だけでなく、国民にとっても最大の関心事だ。

野党側は次期総選挙での政権交代実現をもくろむ。自公両党は政権維持に懸命である。1月の補給支援特措法問題、揮発油税の暫定税率問題とつなぎ法案をめぐる騒動も、すべて解散・総選挙をにらみながらの攻防だった。今後の争点である日銀総裁人事や新年度予算と関連法案の審議も、福田政権を解散に追い込みたい野党側と解散なしで乗り切りたい与党側の綱引きという同じ構図の展開になるだろう。

だが、民主党の小沢代表はつなぎ法案取り下げ合意の直後、スピーチで、「解散・総選挙は秋以降となる」という認識をほのめかす言葉を口にした。当初の3~4月決戦論を早々に放棄したといわれ、「小沢戦略の失敗」「求心力の低下」を指摘する声も噴き出した。
 1月末の攻防劇で、小沢代表の狙いが外れたのは事実だが、民主党にとって重要なのは、狙った時期に福田政権を解散に追い込むことではない。最大の目標は次期総選挙で与党を倒して政権交代を実現することだ。

衆議院議員の任期は来年9月に満了する。どんなに遅くても、それまでに必ず総選挙が行われる。「いつ」にこだわるのではなく、「どうやれば勝てるか」の一点に集中すべきだろう。勝つためには風と波をどうやって起こすかも大きなポイントだが、有権者は今度は風や波ではなく、与野党のどちらに政権を担わせたほうがいいかを本気で判定する気になっている。

判断基準になるのは政局運営能力よりも政権担当能力だ。総選挙までの短い時間、本物の政権担当能力に磨きをかけ、それをアピールできたほうが勝利を手にするに違いない。

塩田潮

塩田潮(しおた・うしお)

ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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