なぜ損を避けたい人ほど大損してしまうのか 受け入れがたい「損失確定」とどう向き合う?
近年、経済学の分野で「行動ファイナンス」が注目されています。その中の代表的な理論である「プロスペクト理論」では「人間の行動は本質的に“損失回避的”である」といわれています。
人は誰しも損をするのは嫌ですから、それは当然の理論なのですが、問題はその程度です。損をするのが嫌だと臆病になるあまり、もっと大きな損をしてしまう。これは現実によくあることなのです。そしてそういう傾向というのは、誰でも放っておくとそうなりがちなのです。
「つまらない映画」を最後まで見る感覚に似ている?
例えば、面白いと思って見に行った映画が予想に反してつまらなかった、とします。2時間の映画を途中、30分ぐらい見たところで、「つまらないから」と席を立つことができるでしょうか? 多くの人は「せっかく買ったチケットがもったいないから」と最後まで映画を見ようとします。
途中で席を立った人が損をするのは「チケット代+映画を見た30分の時間」です。これに対し最後まで見た人が損をするのは「チケット代+最後まで見た2時間の時間」なのです。つまり、払ってしまったチケット代というのは途中で出ようが出まいが戻ってきませんから、この場合は「もったいないから」と思ってつまらない映画を見続けるほうが多くの時間を無駄にして、より大きな損になってしまっているのです。
損を嫌うあまり、もっと大きな損をしてしまうケースは至るところで見受けられるのですが、株式投資ではそんな傾向が顕著に出てきます。「損失回避的」とは、「リスクを取ってでも儲けたい」という気持ちよりも、「できることなら損することは避けたい」という気持ちのほうが強いということです。そういう気持ちで株式投資をやっていると、どういう行動になるでしょうか。
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