身勝手な人の脳が「活性化しにくい」カラクリ 相手を思いやれない人は幸せの感じ方が薄い

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この結果、最初の実験ではお金を払わなかった人も、自分が助けられた経験をしていると、お金を払うようになりました。これは、お礼の意味を込めた利他の行動と思われます。

また最初の実験でお金を払った人は、さらにお金を払う傾向が見られました。

つまり、この実験では共感をもとにした利他行動を取る人と、共感にもとづかない(この場合はお礼をもとにした)利他行動を取る人とに分かれたのです。

その後、それぞれの脳内の動きを調べました。

すると、共感にもとづく利他行動をした人は、脳内で島皮質と前帯状回、線条体という3つの部位がうまくつながって活動し、脳がバランスよく働くことがわかりました。

快感をもたらすドーパミンの分泌量を増やす

脳の状態をのぞいてみると、利他の行動はすぐに私たちにメリットをもたらしてくれることがわかります。

アメリカ・セントラルフロリダ大学のソーン博士らの研究では、利他的な人は困っている人の感情や感覚を受け取って共感し、その人を助けることで脳の報酬系が活性化することを明らかにしています。

報酬系とは、簡単に言えば脳の中の快感に関わる分野で、心地よい刺激や行動があると活性化され、快感をもたらすドーパミンの分泌を増やします。

たとえば電車で席を譲ったとき、「ありがとうございます」など感謝されると気分がよくなりますが、それはこのため。つまり他者の気持ちに共感できると、人を助ける行為が快感となるのです。

ちなみに利己的な脳は、側に困った人がいても気がつかなかったり(無関心)、気がついても共感できなかったりします。そのままでは、戦うかその場から逃げるかするFF行動(Fight or Flight行動)に出ます。

FF行動とは、その場から逃げてしまったり、「困っているとしてもそれは自業自得だ」などと言って相手を責めたりと、怒りや恐れのエネルギーを使い報酬系を活性化し、それによってある種の快感を得ることがあります。

このような脳の使い方をする人は、過去に過度な厳しい体験をしたことが多いように思います。

また、自分勝手に利他と思っている行動をして、相手に自分の親切を押し付けることや、おせっかいなども、共感は伴いません。

共感がいかに大切かをご理解いただけると思います。

アメリカ・マサチューセッツ大学のシュワルツ博士らは、「人はどんなときに幸せを感じるか」という調査を行い、同じような結果を導いています。2016人の人たちに協力をしてもらい、どんなときに幸せを感じるかを調査しました。

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