2020年の為替相場を検証し今後の投資を考える 年初来の対ドルレートの動向から見えるもの

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2020年の為替の動きを振り返り、ここから先を考える(写真:REUTERS/Dado Ruvic/Illustration)

新型コロナウイルスに振り回され続けた2020年も残すところ、あと2カ月強になった。実体経済は深手を負ったままだが、未曽有の規模の財政・金融政策を背景として金融市場、とりわけ株式市場の勢いはもうコロナ前に戻ったかのようである。一方、為替市場の動きは穏やかであり、市場で話題になることが少なくなった。しかし、年初来の動きをフォローしてみると特筆できる論点が見えてくる。

やはりスイスフラン、円は強い

対ドルでの主要通貨の推移を見てみよう。なお、最近は人民元の騰勢が目を引くが、ここではあえて入れていない。過去の記事『為替のバイデントレードをどう考えるべきか?』でも議論した政治的要因のほか、上昇する中国金利や需給(蓄積する経常黒字や貿易黒字)という事実を踏まえれば人民元の上昇は当然である。しかし、政治的な恣意性も影響する人民元の値動きは、今回、とりあえず脇に置いて話を進めたい。

多くの市場参加者が感じているとおり、リーマンショック後の状況と比較すれば、「リスクオフの円買い」や「リスクオフのスイスフラン買い」の迫力は薄れたように感じられる。とはいえ、新型コロナウイルスの不安が市場を支配し始めた2月以降、円やスイスフランが対ドルで下落したのは3月上旬の一瞬のみで、このときは世界中でドル調達コストが上がっただけという事実も見逃せない。

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