ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない訳 「1000円の壁」突破する仕掛けが生き残りの鍵だ

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例えば、中華そばを355円(税抜)で提供する「日高屋」(ハイデイ日高)は2009年時点の250店舗から、2017年には400店舗にまで店舗数を伸ばしている。醤油ラーメンを480円(税抜・関東エリア)で提供する「餃子の王将」(王将フードサービス)は2011年7月に600店舗を達成し、2020年3月時点では737店舗となっている。

この厳しい競争環境において、ラーメン店は1日のうちにどれだけお客を入れてラーメンをたくさん売るかが勝負になっていた。つまり、できるだけ回転率を高めなければならないのが至上命令だ。ところが、コロナによって客足が遠のき気味になっているだけでなく、感染拡大防止対策で席数を減らしているため、回転重視の戦略では売り上げはおのずと減る。一般的なラーメン店がこのコロナ禍でどんどん倒れていくのは、構造的な問題なのだ。

人気ラーメン店トップ10の平均価格は926円

一方で、希望の光がないわけではない。「食べログ」で人気のラーメン店トップ10の基本メニューの価格を調べてみた(10月16日調べ)。

1位 中華蕎麦 とみ田  つけめん(TOKYO-X純粋豚骨)(並・250g) 1250円
2位 手打式超多加水麺 ののくら  中華そば 850円
3位 麺庵ちとせ  塩 850円
4位 メンドコロ キナリ  濃口醤油 780円
5位 らぁ麺 飯田商店  しょうゆらぁ麺 1300円
6位 櫻井中華そば店  中華そば 800円
7位 麺尊 RAGE  軍鶏そば 900円
8位 宍道湖しじみ中華蕎麦 琥珀  宍道湖しじみ中華蕎麦 850円
9位 かしわぎ  塩ラーメン 680円
10位 迂直  鰹昆布出汁 醤油つけ麺 1000円

この10店の基本メニューは平均価格926円と、総務省統計による全国的な平均価格の1.77倍、403円高い。人気店においては「1000円の壁」と戦いながら、限りなく1000円に近づいてきているという見方ができるだろう。

その中でも「1000円の壁」を意識的に乗り越えようとしているラーメン店もある。

「麺屋武蔵」は東京・新宿に総本店を構え、渋谷、池袋、上野、秋葉原、高田馬場などの都心部を中心に現在、国内15店を構えているが、ラーメン店の中では高めの価格設定を続けている。基本メニューのら~麺こそ900円(税込)だが、豪華トッピングの載った1050~1530円(税込)のメニューもある。

次ページ高価格に設定する理由は?
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