来夏まで「在宅勤務延長」続く米国企業の悩み ハイテク企業は来年7月まで在宅勤務を決めた
新型コロナウイルスのパンデミックでアメリカ中のオフィスが次々と閉じられていった今年3月、多くの企業はこの状況は長くは続かない、在宅勤務はごく短期間で終わる、と従業員に伝えていた。
数週間後には自分の「キュービクル(オフィスの仕切られたデスク空間)」に戻ることになる、というわけだ。ところが、その「数週間後には」は、「9月には」になり、その「9月」は「来年1月」へと、延び延びになっていった。アメリカでは今も感染拡大が続いている地域が少なくなく、今度は「早くても来年の夏」へと、オフィス勤務の再開予定をさらに遅らせる企業が相次いでいる。
先陣を切ったのがグーグルだ。同社は他社に先駆けて、オフィス勤務再開予定を2021年7月とした。ウーバー、スラック、エアビーアンドビーも即座に同調。10月上旬には、マイクロソフト、ターゲット、フォード・モーター、ニューヨーク・タイムズも、「パンデミックが近いうちに終息することはない」という現実を受け入れ、対面での仕事再開を来年の夏に延期した。
この動きはさらに広がる
「とにかく耐えるしかない」。こう語るのは、サンフランシスコ市を拠点とするドキュサインで人事部門を取り仕切るジョーン・バーク氏だ。電子署名の管理を行っているドキュサインは8月、5200人の従業員に対し2021年6月まで在宅勤務を認めることにした。「状況は刻々と変わり続けている。すべての問題に答えを出せる人なんていない」。
従業員の安全のためにオフィス勤務の再開を遅らせる企業はさらに増えると予想されている。従業員の側もオフィス勤務の再開を急いではいない。オフィス関連システムを手がけるテクノロジー企業エンボイの依頼で行われたウェイクフィールド・リサーチの調査によれば、オフィス勤務で自身の健康や安全が危険にさらされると危惧する従業員はアメリカでは全体の73%に上る。
従業員が2度と職場に来なくても済むように、恒久的な在宅勤務制度の導入を打ち出す企業も増えている。