給油に6日!ガソリン足りない国の深刻な実態 ベネズエラ、石油埋蔵量世界一なのになぜ
原油を輸入するにもアメリカの制裁が立ちはだかる。アメリカにあるベネズエラの石油子会社CITGOから輸入できないほか、ロシアの石油企業ロスネフチもアメリカの制裁を受けて今年3月にベネズエラから撤退している。
こうした中、市民に必要なガソリンが不足するように。そこで救援の手を差し伸べたのが、アメリカから同じように制裁を受けているイランだ。
これまで両国間では3回の輸送が実施された。1回目は今年の5月、イランから5隻が150万バレルのガソリンを積んでベネズエラに向かった。その一部はキューバにも送られたと報道されている。2回目の8月には4隻が110万バレルを積んでベネズエラへ向かったが、途中アメリカの軍艦によって拿捕されてしまう。アメリカからの追跡を避けるためにこの4隻は船舶自動識別装置(AIS)を停止させていたが、アメリカは船主であるギリシャ人を脅迫して居場所を突き止めたという。
そして3回目、82万バレルを3隻に分散し、その2隻が先月末到着、残り1隻も今月無事に到着した。マドゥロ大統領は、今後もイランとの関係を維持して金塊をイランに送り、ガソリンを手に入れるとみられている。
アメリカの圧力は続く公算
アメリカは今後も圧力をかけてマドゥロ政権を倒すことに努めようとするだろうが、肝心な野党のリーダーであるフアン・グアイドー氏は2019年1月に議会を支配していた野党のリーダーに任命されたが、それ以後現在に至るまでマドゥロを大統領の座から追放できないままの状態が続いている。
しかも、昨年4月には武装蜂起したが失敗し、今年5月にもガデオン作戦と称してマドゥロ大統領を拉致しようとしてアメリカの元軍人2名を含む60名近い傭兵がベネズエラに侵攻しようとして国家警備隊と特殊部隊との交戦で数名が死亡、40数名が拘束された。この事件にグアイドー氏が関与していたという疑いが高まっている。
こうした経緯もあり、現在4つに分かれている野党グループをグアイドー氏が1つにまとめるほどの統率力を有していない。アメリカはマドゥロ大統領の勢力を分散させようとしてグアイドー氏を起用したが、それも限界に来ているようだ。
そのうえ、今年12月に予定されている大統領と議会選挙の実施も危ぶまれている。実施されたとしても、マドゥロ大統領を有利にさせる不正選挙しか予測できない。当面、マドゥロ政権が続く見通しだが、多くが不足している国民はこの状態にいつまで耐えられるのだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら