REITめぐる金融環境が雪解け? 投資法人債の発行、増資相次ぐ

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一昨年の金融危機以降、既存借入金のリファイナンス(借り換え)が困難になるなど、金融環境の急激な悪化に苦しめられてきた不動産投資信託(J−REIT)。ここにきて、市場での投資法人債発行や公募増資の動きが相次いでいる。2月19日には、積水ハウスがジョイント・リート投資法人のスポンサーに名乗りをあげるなど、再編の動きも活発化。

ただ、資本市場からの資金調達を実現できるREITは、スポンサー構成がしっかりしているなど、一部の上位REITに限られている。REITにとって調達環境の本格的な「夜明け」は、まだ先になりそうだ。

2月18日、オリックス不動産投資法人が3年物の投資法人債120億円の発行を決めた。同法人にとって投資法人債の発行は初めて。「資金調達手段の多様化を図るため、チャンスを待っていたが、昨年末から社債市場のスプレッドがタイトニングしてきた」(同投資法人の資産運用会社・オリックス・アセットマネジメント)。

調達利率は、3年スワップ金利対比で1.5%上乗せの2.08%。金額も「もともと100億円を想定していた」(同社)が、投資家の需要が活発で、結果として120億円を調達できた。資金は3月に取得する物件購入に充てる方針だ。

企業で言う社債に当たる投資法人債は、1月22日に日本ビルファンド投資法人が5年物の投資法人債100億円を発行し、「1年8カ月ぶりの起債」と話題を呼んだ。発行利率は1.23%で、スワップ金利比のスプレッドは0.46%。3月に到来する投資法人債の償還資金に充当するのが狙いだった。

「われわれの納得できる水準ならと調達に踏み切った」(同投資法人の資産運用会社・日本ビルファンドマネジメント)と、低利で資金調達できたことに満足している模様だ。09年12月末に86.2%だった長期固定有利子負債比率は、今回の投資法人債の発行で90.3%となり、リファイナンスリスクへの対応も進んでいる。

REITはその商品設計上、計上した利益は投資主に、ほぼ全額を分配金として配当することになっている。このため、内部留保が蓄積されず、収益の源泉である物件の取得は借り入れと増資に頼らざるを得ない。借り換えが出来ない場合、負債の返済原資を確保するため、物件売却を迫られ、REITとして縮小均衡に陥る危険性もある。

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