10月相場は「Octoberサプライズ」になるのか 「強気継続」だが、やっぱり気になることがある

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前回の「日経平均しか見ない投資家が見逃す重要な真実」で取り上げた日経500種平均株価は、ついに史上最高値を更新した。そして予想通り、売りか買いかの対立する2つの見方が出た。しかし「史上最高値更新」は投資家にとって大きな希望の光となったことは間違いない。

さて当面の相場はどうなるか。2日に出たアメリカの9月雇用統計は予想以上に伸びを欠いた。新型コロナウイルス感染の勢いが再拡大していることに実体経済が押されている。

ハイテク株の趨勢が今後を決める

その意味で5日に発表される米9月のISM非製造業景況感指数には注目だ。製造業よりもダメージが大きく、回復も鈍い非製造業の実態が大きく低下しているなら、大統領入院という、株式市場にとって極めて稀な不確定要素と相まって、波乱の種になりかねない。

また、前述の7日の副大統領候補テレビ討論会も非常に重要だ。「負けたのはアメリカ国民だ」と言われ、ひどい結果になった大統領候補テレビ討論会よりも、こちらの方が面白い対決かもしれない。共和党と民主党の真の対立点がはっきりして、大統領選の趨勢を決めるかもしれない。

コロナ禍の新しい世界情勢はハイテク株人気に映し出されるだろう。つまりハイテク株の象徴であるナスダック総合指数が世界の株価の趨勢を決めると思っている。9月2日の史上最高値1万2056ポイントを超えることができるか、史上最高値のままで終わるのか。

大統領の容体情報が錯綜する中で、正念場の10月相場が進んでいく。コロナ対策で放出されたマネーは、当然のことながら株価対策にもなっており、大きな下げはないと考える筆者の基本観は変わらない。だが、投資家の時間軸を超えた調整がないとは言えない。ここは焦らず冷静に見ていきたい。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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