「GoToトラベル」北海道周遊で見た観光の現状 批判の一方、助かっている宿泊・飲食施設も多い

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稚内では「わっかない応援クーポン」付きのプランを使い、指定店での食事で利用した。

わっかない応援クーポン。市内の対象交通機関、飲食店、小売店などで利用できる(筆者撮影)

店で状況を聞くと、すでにGoTo利用の観光客も多く、シルバーウィークを控え国内ツアーも再開するのでその準備をしているとのこと。

翌日は、10時27分発の普通列車で旭川に戻った。旭川から特急を乗り継ぎ東室蘭へ。室蘭駅近くの宿に泊まる。宿によると、室蘭は製鉄会社があるためビジネス客主体であり、連日満室状態。これまで外国系の宿泊サイト利用もあったが、GoTo対象外のところもあり、自動適用の楽天やじゃらんに移行した。一方、登別や洞爺湖の温泉は苦戦している。ホテルでの清掃業者に聞いても温泉での仕事が激減しているとのこと。

周遊パス最終日は、室蘭駅のみどりの窓口で特急北斗の指定券を受け取り、長万部に向かった。あいにくの曇天ではあるが、海側の景色を堪能した。古い温泉にてひと風呂浴び、駅弁で有名な「かなや」の食堂へ。

このパスで最後に乗る列車は、長万部始発函館行き普通列車だ。国縫(くんぬい)を過ぎたあたりから噴火湾が見えてくる。曇り空で色が薄く、空との境界線が曖昧だ。森駅から海と別れる。天気がよければ駒ケ岳が見えるのだが、その姿がない。函館には定刻の16時33分に到着した。

道南いさりび鉄道本社で翌日の「いさりび1日きっぷ」を購入。利用当日でも発売するが、その場所は限られている。本社窓口は土日祝日が休みなので注意が必要だ。

地元の人々との交流はまだ難しいが…

函館では「JRイン函館」に宿泊した。駅直結で、エントランスでは実際に使われた寝台特急のヘッドマークが迎える。シングルルームはトレインビューになっており、函館駅を眺められる。

函館市グルメクーポン。市内の指定宿泊施設で配布している(筆者撮影)

コロナ禍真っ最中の5月に開業し、出足は悪かったが今はほとんどGoToの客で賑わっているとのこと。2000円分の函館市グルメクーポンももらった。これは市の補助によるもので、1月9日まで指定の宿泊施設で配布している。利用できる店は多岐にわたり、行きつけの寿司屋でも使えた。

最終日は「いさりび1日きっぷ」で木古内まで往復したあと、帰途についた。

以上、8日間の旅に出たが、受け入れ側の感染対策はきちんとなされていたし、旅行者も総じてマナーを守っていた。完全に観光客に依存しているところは厳しいと思うが、シルバーウィークでの観光地の混雑ぶりをみるに、GoToトラベルで助かっている業者が多いのは確かだ。

旅先での楽しみの一つに、1人飲んでいるところに居合わせた地元の方々との会話があるが、まだ難しいだろう。けれども、そんな日が再びやってくることを願い、各自感染対策をしっかりして、好きな町を応援しに出かけることはよいのではないか。

八田 裕之 週末旅行家

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はった ひろゆき / Hiroyuki Hatta

1967年生まれ。武蔵工業大学(現:東京都市大学)工学部電子通信工学科卒。JR全線完乗した鉄道ファンにして、Jリーグをこよなく愛する。平日は会社員だが休日はJリーグ遠征で全国奔走の日々。フュージョンバンド「Quiet Village」のリーダーとしてギターと作曲を担当、オリジナルアルバム発表、鉄道コンピレーションアルバム参加など、音楽活動も行う。

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