うまい棒、倍額20円の「プレミアム」で新境地 熱烈ファンも認めた商品の完成度

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つまり今回、通常のうまい棒と同等サイズのものでは、はじめて10円以外の商品をラインナップした。まず気になるのが4月1日発売以降の売れ行きだ。やおきんに取材したところ、「好調で、かつ評判も上々」とのこと。子供よりも、どちらかというと若者から大人に人気のようだ。もっともこれは、商品コンセプトや販売戦略の狙いが当たったところだそうだ。

今回のプレミアムうまい棒では、生地を従来と変えただけでなく、より本格的な味わいを出すため、シーズニングパウダーも贅沢に使用。「子供さんでもちょっと贅沢をしたいときや、大人の方お酒のおつまみとしてなど、より幅広いなかから選んでいただけるように」との思いが込められている。また、販売ルートも、スーパー、駄菓子屋などに加え、ヴィレッジヴァンガードやドン・キホーテ、トイザらス、さらにはゲームセンターなど、若者の集まる場所を選んで拡大した。

ちなみに、これまでも「めんたい味」は存在したが、プレミアムでは漢字になって「明太子味」。明太子を乾燥させたパウダーをたっぷり使用しているので、本格的な明太子の香りや味わいが楽しめるのだそうだ。ちょっとスパイシーで、ビールのお供としてもぴったり。このように「大人路線」を意識し、「プレミアムとして恥ずかしくないよう、お客様に『なるほど!』と納得してもらえる味にしたいと、従来以上に味や食感などにこだわった」のが、プレミアムうまい棒だ。

ファンも脱帽のプレミアム感

そのこだわりは、味にうるさいファンにも受け入れられたようだ。やおきん公認のファンサイト「うまい棒同盟」を15年にわたって運営する川本篤史さんは「味が濃厚。10円が20円になるだけで、ここまで味がグレードアップするのかと感心した」と、そのプレミアム感に脱帽している。

川本さんは、自宅に常時200本をストックし、前述のような大量のうまい棒グッズを保管するスペースを確保するため、ウッドデッキを潰して部屋を増築した、熱烈なうまい棒マニア。「さきいか味」(今は製造されていない)に感動して、うまい棒の魅力を伝道すべくホームページを立ち上げたのが、うまい棒同盟設立のきっかけだそうだ。

プレミアムうまい棒の発売は、このような根強いファンの期待に応えるものとなったようだ。そもそも、やおきんが高級志向のうまい棒を販売しようと思ったきっかけとなったのが「10円という価格帯ではなかなか表現できなかったところを追求したかった」という、お客や商品に対する熱い思い。ただ、こだわればこだわるほど、当然コストは高くつく。商品として成り立つよう調整するためには、多くの苦労があったという。

「正直なところ、こだわりすぎたため通常のうまい棒よりさらに利益率が低くなってしまった」というから、採算よりは、作り手の情熱が勝った商品ということだろう。また、今回の高評価が、プレミアムうまい棒シリーズとして、新たな商品展開につながることも大いに考えられる。

川本さんは「うまい棒の魅力は、10円というコストパフォーマンスと、味のバリエーションの豊富さ。新しい試みとしては必然と思うが、10円あってのうまい棒を本筋として展開して欲しい」と、高級路線を支持しつつも、やはり従来の10円路線を応援する構えだ。また、「ガリガリ君やチロルチョコのように、コンビニ限定のオリジナルフレーバーなどの展開をすると面白いのでは」と、期待を語る。うまい棒ワールドは、さまざまな発展を秘めているといえそうだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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