「民間部門の過剰貯蓄」でアメリカ経済も停滞へ

ISバランスから読み解くアフターコロナの経済

アメリカの旺盛な消費は戻ってくるのか。写真は4月のロックダウン下のニューヨーク( 写真:REUTERS/Mike Segar)

9月21日にFRB(連邦準備制度理事会)が公表した4~6月期の資金循環統計はアフターコロナのアメリカ、ひいては世界経済がどのように変化していくのかを示す資料として非常に興味深いものであった。同統計を基に貯蓄・投資(IS)バランスを作ると、一瞥して異様なことが起きていることがわかる。

アメリカでも民間部門に過剰な貯蓄

端的には「家計部門の貯蓄超過、政府部門の貯蓄不足」が前例のない規模で進行しているということだが、それにしてもその規模が異常である。具体的に見ると、名目GDP(国内総生産)比で家計部門がプラス23.3%、企業部門がプラス1.0%と貯蓄超過の主体となっている。企業部門が貯蓄超過に陥ったのは9四半期ぶりの出来事である。一方、政府部門がマイナス27.3%と大幅な貯蓄不足、つまり投資超過の主体となっており、これがアメリカ経済の底割れを防いだ格好である。

5月9日の東洋経済オンライン記事『アフターコロナで注目したい世界の「日本化」』ではコロナショックを受けた世界経済では「消費・投資を控えることが良いことである」という規範が定着することを危惧すると書いた。これをISバランスから読み解くと、企業・家計といった民間部門が大幅な貯蓄超過主体となる一方、政府部門がその過剰な貯蓄を借り入れて大幅な貯蓄不足主体となることで国内経済が均衡する未来を議論した。この結果、実体経済では需要不足を背景として慢性的に成長率が低位安定し、物価もディスインフレ懸念が強くなる可能性があると述べてきた。

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