三菱地所、東京駅で進める「日本一ビル」の勝算 オフィス不要論あるが、中長期需要には楽観的

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新型コロナ禍でインバウンド需要が蒸発。一部に緩和の動きはあるとはいえ、イベントを開催するのに引き続き大幅な制限を受ける中、ホテル需要も大規模ホールの稼働率も壊滅的な状況にある。

多くの企業がテレワーク導入を余儀なくされ、富士通が国内のオフィス面積を2023年3月までに半減、東芝も2023年をメドに、段階的に3割削減する方針を打ち出す中、オフィス不要論も跋扈する。

オフィス仲介大手・三鬼商事のオフィス需要調査によると、8月の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は3.07%。平均募集賃料は坪当たり2万2822円だった。2020年2月の空室率は1.49%と、バブル終焉直後の1991年末をも下回る水準だったが、新型コロナの感染が広がった4月以降は月を追うごとに上昇した。

大手町、丸の内の優位性は動かず

2014年1月から7年8カ月にわたって上昇を続けてきた平均募集賃料もついに下落に転じた。約2万3000円という平均募集賃料は、1年前よりもまだ4.7%ほど高く、リーマンショック直前の2008年5~7月ごろと同程度で、歴史的に見れば悲観するような水準ではない。

だが、6カ月前通告が原則のオフィスの賃貸契約の解約は、10月以降に本格化することも予想される。ちなみに、リーマンショック時に空室率の上昇が顕著になったのはショック勃発から7カ月後の2009年4月ごろからだった。

そんな悲観論も交錯する中で三菱地所は強気ともみえる増床計画をブチ上げた。三菱地所の吉田淳一社長は17日の会見で、「今後のオフィス需要については不透明な部分もあるが、丸の内・大手町エリアには企業の戦略部門やそれをサポートする法律事務所や監査法人、金融機関や商社が集積しており、選ばれる街に新しい魅力を付加できる」と、テナント募集に自信を見せた。

コロナ禍を機に働く場所の自由度は上がったが、戦略を立案したり、重要な意思決定をするのはオンラインだけでは限界がある。新しい価値を生み出していくには、人同士のリアルな接触も必要になる。したがって、丸の内、大手町エリアのオフィス街としての優位性は揺るがないというわけだ。

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