通勤電車、いまこそ「有料座席」を増発すべきだ

収益改善と密回避、鉄道会社・乗客双方に利点

京王電鉄以外では東武鉄道が積極的な姿勢を見せている。今年6月のダイヤ改正では、東上線のTJライナーに加えて伊勢崎線・東京メトロ日比谷線直通運転のTHライナーが予定どおり登場。伊勢崎線特急は朝の上りと夕夜間の下り列車が曳舟駅に停車し、特急アーバンパークライナーの増発やリバティりょうもうの運転区間拡大を行うなど、快適な通勤の提供に向けてさまざまなメニューを打ち出している。

「THライナー」で使用する東武70090型(筆者撮影)

東急電鉄は対照的な動きで、大井町線・田園都市線で平日夜に大井町駅を発車する一部の急行長津田行きで利用できる有料座席指定サービス「Qシート」を、4月27日から休止している。ただし翌月11日に発表した大井町線・田園都市線ダイヤ改正では、Qシートの提供本数を従来の2倍の10本に増やすとしており、再開後はサービスの充実が期待できる。

路線バスも運用に変化

路線バスでも各社が終バスの繰り上げや深夜バスの運休を行なっている。ここでも目立っているのは京王電鉄と同じグループに属する京王バスグループで、4月13日からターミナル駅と郊外を結ぶ深夜急行バスをすべて運休としている。

京王バスグループでは高速バスでも全便運休路線があるが、一方で一部運休にとどめている路線、全便運行の路線もある。都市部の深夜時間帯の移動が極端に減少していることがうかがえる。

京急電鉄の車両増結作業(編集部撮影)

鉄道に話を戻せば、深夜帯以外の時間帯は回復基調となっている。こうした中でいわゆる3密を避けるべく、たとえば京浜急行電鉄では、7月から朝ラッシュピーク時間帯後の快特上下各1本を8両から12両に増結するなどの対策を行っている。

しかし利用者が元に戻らない中での輸送力増強は、事業者にとって負担になる。その点通勤ライナーは座席指定料金を利用者から徴収できるので収入増につながり、利用者にとっては多少の出費はあるものの、通常の通勤電車に比べて密を避けた状態で座ったまま通勤できるという利点がある。

一部の会社では通勤ライナー料金を通勤手当として認めるところもあるという。感染防止対策費用として、多くの会社が通勤ライナー料金を手当てとして認めるようになれば、走らせる側にとっても乗る側にとっても好ましい状況になるだろう。

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