今の40歳前後「非正規・未婚者」が抱く深い憂鬱 生活苦の「新しい中年クライシス」が起きている

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なぜ女性より男性のほうが生涯未婚率は高いのか、簡単に述べておこう。第1に、生まれてくる赤ちゃんの性比は、女性を1.0とすると男性は1.05を超えているので、世の中は男性の数が女性の数より多い。一夫一婦制が日本の規範なので、男性で結婚できない人が生じるのは自然である。

第2に、離婚した男性の再婚相手は初婚の女性が多く、これは1人の男性が複数の女性を囲い込むことを意味するので、女性に巡り合えない男性の増加が生じる。

このようにして生涯未婚者の数が増加し、中年期に離婚して再婚しない人がかなりの数存在することになる。こういう人が高齢になってから単身で生活するとなれば、さまざまな問題の生じることは皆の予想できるところである。

生涯未婚者が高齢になって起こりうる問題

具体的にどういう問題が生じるのかは詳しく論ぜず、箇条書きだけにしておこう。

第1に、非正規社員などが多かったので、賃金収入の低いことがあり、貯蓄額も少ないので高齢になってから生活費に欠乏の生じることがある。

第2に、もし現役労働中に賃金収入の低い仕事をしておれば、社会保険料の支払い額が低かったので、年金、医療、介護などの社会保険給付額が低い。

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第3に、孤独死の問題でわかるように、病気や要介護になったときに、一人身なので看護・介護を十分に受けられない場合がある。

第4に、若い頃や中年の頃は1人暮らしをやっていける、と自信に満ちていた人の多いことはすでに紹介したが、そういう人でも高齢になってから心身ともに弱くなるので、心のさびしさや生活上の不便を感じるようになる。

「新しい中年クライシス」の渦中にいる人々は経済的に困窮し、結婚もままならない。将来は不安だらけといった中年期にまつわる不幸は深刻である。

関連記事:「今の40歳前後に苦しい生活を送る人が多い因縁」(2020年9月1日配信)、「今の30~40代非正規を待つ『極貧』老後の超不安」(同9月8日配信)、
「35歳超の非正規男性が悲惨なほど困窮する現実」(同9月15日配信)
橘木 俊詔 京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授

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たちばなき としあき / Toshiaki Tachibanaki

1943年生まれ。小樽商科大学卒業、大阪大学大学院修士課程修了、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。大阪大学、京都大学教授、同志社大学特別客員教授を経て、現在、京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授。その間、仏、米、英、独の大学や研究所で研究と教育に携わり、経済企画庁、日本銀行、財務省、経済産業省などの研究所で客員研究員等を兼務。元・日本経済学会会長。専攻は労働経済学、公共経済学。
編著を含めて著書は日本語・英語で100冊以上。日本語・英語・仏語の論文多数。著書に、『格差社会』(岩波新書)、『女女格差』(東洋経済新報社)、『「幸せ」の経済学』(岩波書店)ほか。

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