「工事が止まらぬ」大阪駅、どこまで変貌するか 大阪駅の北側で進む「うめきた2期」の全貌

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従来、新駅の事業計画上の駅名は「(仮称)北梅田」とされ一般には「うめきた新駅」「うめきた地下駅」と称されてきたが、今年3月、「大阪」として既存駅と一体化させることが発表された。地下駅を特定して指すこともあるため、案内上は「うめきた(大阪)地下駅」の呼称も使い続ける。あわせて既存の大阪駅側との間に地下通路を整備する。

開発地や新旧ルートの概況は、「はるか」や「くろしお」に乗車すると間近に眺められる。

新大阪を発車した「はるか」は、旅客線(JR京都線)と並んで淀川を渡って右に分かれ、阪急中津駅の下を抜けると再開発地が一気に広がる。広大な敷地には巨大な台形の土盛が複数ある。トンネルの掘削土で、これからの埋め戻しに使う分を仮置きしていると言う。その盛土越しにビルを眺めて進むと梅田信号場。梅田貨物線は阪急との交差付近から単線なので、貨物との行き違いや待避が行われる場所である。車窓にグランフロント大阪と大阪駅が重なって見える付近に、新駅は設置される。

うめきた2期開発は未来都市と広大な緑の空間に

工事の進捗状況をJR西日本に聞くと、駅部の軌道階(地下2階)は一部天井を残して実体が完成し、コンコース階(地下1階)は床がおおむね完成、壁や柱等を構築中。大阪ステーションシティ屋上から見下ろすと開削部が見える。前後の区間は、新大阪方のトンネル部では一部を除き実体完成、埋め戻しも完了、アプローチの掘割区間では掘削から順次、実体工事に入っている。トンネル実体が完成すると軌道工事が待っており、今秋着手の予定だ。福島方は道路交差部を除きトンネル掘削は終わり実体を工事中。アプローチ部は営業線直下のため営業線を受け替える必要があり、工事桁を架設中で、掘削はこれからとなる。

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信号場を通過するとすぐに西梅田一番踏切がある。この踏切は地下化に伴い除去される。東海道線(JR神戸線)をくぐる付近で新線工事の現場に再び合流、南側に抜け出て大阪環状線高架の足元に寄り添うと、福島駅直下の浄正橋踏切を横切り高架線へ上がってゆく。

「うめきた」自体の2期開発は、阪急中津駅に近い北側と大阪駅至近の南側に新産業創出や産学官民交流、国際交流や世界発信等を謳うオフィス、ホテル、商業施設、高層住宅の街区を配し、間は災害時の機能も考慮した4.5ヘクタールもの、緑あふれる都市公園とする。十字の街路が大阪駅や阪急梅田駅方向と結び、南の街区に隣接して新駅の広場を配置する。大阪駅とはデッキでも結ばれ、回廊が形成される。地上の貨物線は廃止されるので、新梅田シティ方面との分断も解消する。新駅開業後、2025年に予定される大阪万博の直前、2024年に先行まちびらきを予定する。

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