貧困層とお金持ち「アベノミクス恩恵」の大格差 「格差が拡大した」との通説をデータで検証する
国民負担率と言うのは、「租税負担率+社会保障負担率」のことで、日本の場合、2020年度の見込みで租税負担率が26.5、社会保障負担率は18.1%となっている。これはイギリスの47.4%(2017年)に迫るものであり、ドイツの54.1%(同)にも近づきつつあることを物語っている。
ただし、ドイツやイギリスは、日本よりも医療費等の面で高い行政サービスを実現させており、今回のコロナウイルスのパンデミックでもその違いが鮮明に出た。
仕事にありつけない人は減った
安倍政権時代、いわゆる貧しい人であっても恩恵はむろんあった。賃金は安いものの仕事にはありつけた人が多かったはずだ。例えば、求人数に対して求職数がどの程度あるのかを示す「有効求人倍率」は、コロナ禍で最近は落ちてきているものの、安定した伸びを見せた。また、安倍元首相が指摘するように、失業率も安定的に改善してきた。
高いほど就職しやすいとわかる指標が有効求人倍率だ。政権交代の2012年12月の有効求人倍率は0.82倍。求職者1人に対して、0.82の仕事しかない状態だった。しかし安倍政権誕生以来、改善の一途をたどり、2018年には1.622倍まで回復している。
ただ、コロナ禍で現在は下落し続けており2020年の7月には1.08倍にまで下落している。
完全失業率は、安倍政権発足時の2012年12月には4.5%(季節調整値)だったのが、その後一貫して下落し続け、2019年5月には2.3%にまで少なくなっている。完全雇用の状態というよりも、人手不足の時代と言っていいだろう。
自助努力を前面に出していた安倍政権のもとでは生活保護などのセーフティーネットはあまり当てにできなかったわけだが、少なくとも仕事はあったわけだ。
これらをまとめれば安倍政権の7年8カ月は富裕層や大企業にとっての恩恵が貧困層よりも大きく、格差が広がったという世間一般の指摘は当たっているといえる。
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