貧困層とお金持ち「アベノミクス恩恵」の大格差 「格差が拡大した」との通説をデータで検証する
厚生労働省が3年ごとに実施している「国民生活基礎調査」によると、「子どもの貧困率」は、2012年=16.3%、2015年=13.9%、2018年=13.5%となっており、依然として7人に1人の子どもが「貧困状態」であることがわかっており、これも大きく改善はできていない。
ちなみに、国立社会保障・人口問題研究所が2017年7月に実施した「生活と支え合いに関する調査」によれば、「ひとり親世帯(2世代)」の約36%が食料の困窮経験が「あった」と答えている。食糧の困窮経験といえば「絶対的貧困」にも相当する深刻な問題だ。
法人統計によると安倍政権時代には約4割の経常利益が増えた。
・2018年……83兆9177億円(同)
輸出産業などは為替市場の円安効果もあったとみられる。一方、企業の人件費はこの7年間で196兆円から208兆円へとわずかな伸びにとどまっている(法人企業統計)。ここには正規雇用者と非正規雇用者の収入の格差があり、利益を上げた要素の1つに人件費を抑えたことが入っているだろう。さらに、企業は内部留保という形で400兆円を超える資金を貯め込んだ。
アベノミクスの成果で「消費」は増えたのか?
さて、安倍政権時代の「消費」はどうだったのか。各種の数字を見てみよう。
家計の中で支出する金額「家計支出」が増えたかどうかを見る指標。家計支出には、生活に必要な「基礎的支出」と、それ以外の「選択的支出」がある。2人以上の世帯のケースで見ると……。
・家計支出……343万4026円
・基礎的支出……190万4710円
・選択的支出……152万9317円
●2019年
・家計支出……352万0547円
・基礎的支出……200万2085円
・選択的支出……151万8463円
ちょっとわかりにくいかもしれないが、安倍政権下で家計の支出は8万6521円伸びた。ただし、食品や家賃、光熱費、保険医療といった必需品的な「基礎的収支」は9万7375円増加し、逆にぜいたく品的な選択的収支は1万0854円減少している。
実際に、日本の個人消費は2013年の第1四半期には297兆円程度だったのが、一時的に305兆円(2014年第一四半期)を超えたことがあったものの、コロナ禍が始まる直前の2019年第4四半期には295兆円程度となり、7年8カ月もかけた経済政策は個人消費を飛躍的には伸ばせなかった。
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