「主体性」と「組織の論理」は相反する!?
A「そもそも、『世代』自体がマジック・ワードだったりして。『さとり世代』のボクらは、上から見ると物足りないみたいなんですね。『もっと主体性を持て!』と言われる」
吉岡「それもマジック・ワードのひとつだね。その正体を探るときには、その表現が使われやすい状況を考えたほうがいい。だいたい会社で『もっと主体性を!』と言われるときって、どんな場合だろう?」
A「そうですね~。あるプロジェクトに取り組んでいるのですが、うまくいっていないときでしょうか?」
吉岡「まあ、すべての標語は、うまくいっていないときに使われるよね。うまくいっていたら、黙ってみていればいい。頑張れというときは、エネルギーが足りなそうな場合だしね」
A「じゃあ、『主体性』が求められるときは、もちろん『主体性』が足りないのですね。自分で考えて、自分の判断で行動していないとか?」
吉岡「でも、会社の仕事って、自分の思いどおりにはできないのが普通だよね。自分で考えて、自分の判断で行動したら、『独断専行』って言われかねない。上司が何をするのか決めて、どうやったらできるか、方法や方針を定めて、それを部下に実行させる。そういうのが『組織の論理』だ」
A「『組織の論理』と『主体性』は相反するわけですね」
吉岡「会社では、『組織一丸となって!』などと言われるけど、そのモデルは軍隊だよね。ただ、軍隊でいちばんやっちゃいけないのが、『独断専行』なんだ。自分の判断に従って行動するのではなく、上級者の命令どおりに動かなきゃならない。『突っ込め!』と命令されているのに、突っ込んだら危ないと自分で判断して突撃を躊躇していたら、敵前逃亡で、場合によっては銃殺だよ。兵隊のやることは、命令どおりに行動すること。見たことを報告すること。間違っても、自分自身で判断してはいけない。判断はすべて上級者に仰ぐ。『主体性』なんか持ってはいけないんだ」
A「似ているようでも、会社と軍隊はずいぶん違うということですか?」
吉岡「そうでもないと思うよ。会社で『もっと主体性を!』と言われるときって、だいたい上司が責任を取りたくないときだよ。思ったように結果が出ない。何か取り組み方を変えなきゃならない。でも、前の命令を取り下げるのは悔しい。自分の命令が悪かったと認めたくないから、『もっと主体性を持って取り組め』『主体性を持たないお前らがきちんとやらないから失敗するんだ』とか言って責任転嫁する」
A「センセー、その解釈すごすぎませんか?」
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