Knotが上質な国産腕時計を1万円台で出せる訳

「社長解任」の辛酸を舐めた男が創ったブランド

――Knotはネット販売もしていますが、東京・吉祥寺の1号店をはじめ、表参道や丸の内、横浜、大阪、京都、神戸、名古屋、福岡といった国内主要都市にリアル店舗を構えています。腕時計屋さんというと敷居が高いイメージがありますが、店舗づくりにはどのような工夫をしていますか。

ネット販売もありながらリアル店舗がある理由は、お客さんがカスタムオーダー体験や、その時間を楽しんでほしいという思いからです。

遠藤弘満(えんどう・ひろみつ)/1974年、東京都生まれ。通販会社のバイヤーを経て、2003年に輸入商社を設立。2005年にデンマークの時計ブランド「スカーゲン」の日本総代理店となり、2011年にはデンマークデザインを広く普及した実績が評価され、ファッション分野では日本初となる“デンマーク輸出協会賞およびヘンリック王配殿下名誉勲章”を受勲する。2012年、「スカーゲン」の輸入販売権を失い、オーナーから突然クビを宣言。2014年、国産腕時計メーカー「Maker‘s Watch knot」を設立する(写真:新潮社)

お店のいちばんのシンボルは、センターテーブル。オープンディスプレイで「自由に触ってお楽しみください」というスタンスも、2014年の創業時から決めていたことです。

腕時計をファッションとして売るためには、洋服と同じように、お客さま自身が気軽に試着やカスタムオーダーが楽しめることが大切だと考えます。オープンディスプレイにすることで、スタッフに声を掛けなくても自由に試すことができるのです。

――今の若者は、生まれたときからAmazon(アマゾン)や楽天のネット通販を利用しているので、接客慣れしていないし、接客してもらいたくないという方もたくさんいますよね。

私自身も欲しくもないものをセールスされるのが苦手なので、Knotでは店舗の販売スタッフを、“販売員”ではなく“ウォッチアドバイザー”という呼称をつけました。お客様がアドバイスを求めるときに、すっと手を差しのべてアドバイスいたします。

日本の技術を「腕時計」という形で世界に発信する

――「Knot」のコアコンセプトは?

3つあります。

①高品質な製品をリアルプライスで提供すること
②カスタムオーダー
③メイドインジャパン

全世界で売られているメイドインジャパンの代表的な製品は、腕時計と化粧品だと思います。地球の裏側のブラジルにだって、セイコーの時計、シチズンの時計は売られています。

一方で、いろいろなメーカーが、日本の伝統工芸や素材を採用したモノづくりをしていますが、売り先が国内だけで、閉ざされたマーケットになるものが結構多いのです。

われわれ時計メーカーが腕時計のベルトや、時計そのものの素材、日本の技術を、「腕時計」という形で世界中に発信していくことは、時計メーカーだからこそ果たせる役割であり、貢献につながると考えました。

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