Knotが上質な国産腕時計を1万円台で出せる訳

「社長解任」の辛酸を舐めた男が創ったブランド

――そのメイドインジャパンの高品質な腕時計をKnotはなぜ“1万円台”という低価格で提供できる?

製造現場から流通まで、お客様に届くまでの過程の無駄を徹底的に省いているからです。

日本の時計製造業を再定義し、デザイン、設計、部品の調達、組み立てから販売までのすべてに携わり中間業者を挟まないSPA(製造小売業)を志向しています。

そのため、コストの高い高品質な材料を使用しても、1万円台から提供できるのです。

誰かにやられるなら自分でやってしまおう。

――遠藤さんは通販会社のバイヤーを経て、2003年に輸入商社を設立。2005年にデンマークの時計ブランド「スカーゲン」の日本総代理店となり、2011年にはデンマークデザインを広く普及した実績が評価され、ファッション分野では日本初となる“デンマーク輸出協会賞およびヘンリック王配殿下名誉勲章”を受勲されました。一方で、2012年にスカーゲンの輸入販売権を失い、オーナーから突然クビを宣言されました。無職のどん底を経験し、資本の論理について痛感したのではと思います。生産拠点が中国にシフトし、日本の時計の生産が壊滅していた2013年。日本の中小製造業の多くが廃業していくなか、なぜ国産の時計ブランドをつくろうと思ったのですか。

「他人のふんどしでビジネスをして成功しても、いつかは取り上げられてしまう。だったら、作って売るまで、すべて自分で手がけよう」と思いました。

メガネ業界にJINSとZoffが登場して市場が激変したように、時計業界にもSPAモデルを持ち込めるのではないか。誰かにやられるなら、自分たちでやってしまおうと。

前職では、スカーゲンというブランドが、M&Aでアメリカの大手企業に買われ、権利がなくなりました。最後は、持ち株比率の問題で、退任を迫られてしまった。B2Bビジネスは、メーカーとの契約が破棄されても、逆に大手販売店に取引を切られても、ビジネスは失われてしまう。こういうことが立て続けに起きて、次はイチからすべて自分でブランドを立ち上げようと思いました。

――クビ宣告はデンマークの皇太子殿下に表彰を受けた後?

はい。大使館にご招待されて、皇太子夫妻が来日され、壮大な晩餐会を開いてくださいました。そこまで持ち上げられるだけ持ち上げられて、半年後にスパッとクビを切られました(笑)思い返すと、勘違いしていた部分や浮かれていたところがあったと思います。どんどんつまらなくなっている自分がいました。

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