お見合い場所は、一流ホテルのラウンジ。円香は、隣で会話している客や横を通っていくウェーターに聞こえないか、ドキドキしたそうだ。目の前の相手をそんな気持ちにさせているとは露知らず、さらにこう畳みかけた。
「実は、親父は糖尿でもあって、そっちの遺伝も心配なんです。糖尿になると、さらにアッチがダメになるって言うじゃないですか。それで今食事には、ものすごく気を遣っているんですよ」
気のおけない男同士の飲み会だったら、盛り上がるネタかもしれない。40代になったら、毛髪や健康状態は誰もが心配になることだ。ましてや婚活をしている男性ならなおさら気になるところだろう。
ただ覚えておいてほしいのは、出会ったばかりの女性の気持ちをつかみたいと思うなら、下ネタや病気ネタは厳禁。誠実な中にも、ロマンチックな会話を心がけることが大事だ。
「毎晩でもいいと思っているんです」
またもや下ネタで失敗した男性のお話。しかし、彼は笑いを取ろうとしたのではなく、大まじめだったのだから、かえって始末が悪い。
1カ月ほど前に慎一(39歳、仮名)がお見合いをして交際に入り、3回目のデートを終えた里美(39歳、仮名)が、ゲンナリした顔で言った。
「慎一さんとの交際は、終了したいと思います。社会的に立派なお仕事をしているし、年収もしっかりしている。条件は申し分ないのですが、これまで待ち合わせの時間やデート場所の指定がすべて自分中心で、私の都合をまったく聞こうとしませんでした」
さらに3回目のデートのイタリアンレストランで、こんなことを言ったそうだ。
「里美さんは、結婚生活に何をいちばん重視しますか?」
急にふられた質問に何と答えようか迷っていると、慎一が先に口を開いた。
「僕は、夜の夫婦生活を重要視します。毎晩でもいいと思っています。その相性というのは、とても大事だと思うので、結婚を決める前にどこかに旅行に行きませんか?」
まだ手もつないでいない関係なのに、「この人は何を言い出すのだろう」と、里美は目を白黒させてしまった。
「体の相性が大事なのは、私にもわかりますよ。ただ私が再婚で、彼は初婚。3回目のデートでこんなことを言い出すのは、私が再婚だから下に見ているのでしょうか? すぐにそういうことができると思っているのでしょうか?」
実は結婚相談所には、“男女の関係になったら成婚とみなす”という規約がある。なので、婚約をしないうちに男女の関係になることは、違反事項だ。なぜそんな取り決めがされているかと言えば、そこをウヤムヤにすると結婚への真剣な出会いの場が、ヤリモクたちの遊び場になってしまうからだ。
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