メーカーの商品開発に「物申す」顧客が必要な訳

ドイツのスポーツクラブとモノづくりの共通点

開発者とユーザーが対等にやりとりをし、新しいモノづくりを実現していく(写真:metamorworks/iStock)

新型コロナウイルス感染拡大を経て、多くの企業が顧客とつながる「コミュニティ」の重要性をこれまで以上に感じているようだ。これからのモノづくりは開発者とユーザーが自由にやりとりをすることでニーズを抽出し、どんどん新しいモノやサービスを実現する流れにある。そんなことを考える中で、「ifLink(イフリンク)オープンコミュニティ」というオンラインを中心としたオープンコミュニティが目についた。

「ifLink」は、モノのインターネットと呼ばれるIoT(Internet of Things)機器やWebサービスをモジュール化し、ユーザーが自由に組み合わせて、さまざまな便利な仕組みを実現するためのプラットフォームだ。と説明しても、この方面に疎い人にはわかりにくいだろう。筆者もこの分野に詳しいわけではないので、上記の説明文だけではいまひとつピンとこない。そこで、開発した東芝の島田太郎氏(執行役上席常務最高デジタル責任者)に話を聞いてみた。

「メーカー主導」ではだめだ

オンラインのコミュニティの魅力は、参加者の交流を通じて新しいアイデアが出てくることだ。ところが、「ネット上だけで交流するのは簡単だが、モノを実際に作っていくという要素が入ると、とたんに難しくなる」と島田氏は言う。そのため「ifLink」は、「共創コミュニティ(使う側)」「開発コミュニティ(作る側)」の両方が集まるプラットフォームにすることで、アイデアを実際のサービスや仕組みに落とし込みやすくした。

例えば今日、キーを持ちながら自動車から離れると自動的に施錠する仕組みがある。しかし「車庫入れしたあと、自動車と車庫両方の施錠がワンセットになると便利」というアイデアが共創コミュニティ(使う側)から出てきたとしよう。

「このとき、自動車メーカー1社では作れないが、ifLinkの開発コミュニティ(作る側)に自動車とガレージのメーカーさんがいれば作ることができる。ほかにも、自動車の施錠とガレージから玄関までの照明を関連付けるといったことも可能になる。組み合わせは無限」(島田氏)。これまでの、メーカー1社が主導でユーザー向けに製品開発をするという流れとは異なるものだ。

東芝の島田太郎氏(左から2人目)も参加したifLinkオープンコミュニティ設立キックオフイベント(写真:東芝)

ifLinkオープンコミュニティは昨年11月に構想され、今年3月30日には設立キックオフイベントが行われた。現在、約100社が「コミュニティ」に参加。8月31日には、「ifLink Open Community Festival 2020 Summer」をオンラインで開催し、約1000人の登録があったという。このフェスティバルではコミュニティに参加する企業が開発したサービスなどを披露した。

島田氏によると、コミュニティに参加している企業数は当初の予想以上だという。従来のメーカー主導で製品を開発するという構造に、問題意識を持っている会社が少なからずあるということだろう。

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