「わがまま老人を出禁にした」ホテルマンの覚悟

従業員泣かす「高齢クレーマー」残念すぎる最後

部屋の使い方にも問題がある。男性は毎日、バスルーム全体にガンガン水をかける。

「おかげで、いつもバスルームの扉の下から水が外に漏れて、タイルカーペットがびしょびしょになるんです。だから毎日、タイルカーペットを4枚くらい取り換える作業が必要になります」

水原さんは、やめてもらうようにお願いしたことがあるが、「バスルームが汚いから、オレがきれいにしてやっているのがわからないのか!」と、怒鳴られた。

「私が見たところでは、汚いとは思えないんですけどね」

枕が、いつもびしょびしょになっている。

「どうして、いつも濡れているのですか」と聞くと、「夏だから、汗をかくんだ」と答える。

「あれが汗だとすれば異常です。体がどこか悪いんじゃないかというレベルです。おそらく頭を洗ってから、ロクに髪を拭かずに、そのまま寝ているんじゃないかなと。気持ち悪くないのかなと不思議になるくらいですね」

最近では、「部屋で怒鳴っている声が聞こえる」と、他の宿泊客から騒音被害を訴える声も増えてきた。

「そのことを指摘すると、『オレの思い通りにならないから怒っているんだ!』と言うんですね。『こいつはダメだ! 辞めちまえ! おまえはクビだ!』と、私なんかも何度も言われました」

重箱の隅をつつくようなクレーム

笑顔を絶やさない女子社員がいた。ある日、水原さんはたまたま彼女とすれ違ったとき、笑顔がなかったためにただならない気配を感じた。

「何、どうした?」
「実は例の方が、『ポットが汚い』と言うので、いま取り換えようとしているところです」

まもなくして、彼女がポットを抱えて戻ってきた。顔は一層曇っている。

「どうした?」
「今度は、コードが汚いと言われました」

よくよく聞くと、汚いのはコードそのものではなく、コードについている「お持ち帰り厳禁」と書かれたシールタグのことだった。重箱の隅をつつくようなクレームに、彼女は泣き出すのを必死に耐えているような表情を浮かべている。水原さんは決心した。

「これはもう、ダメだな。なんとか、この人を追い出すしかないと思いました」

しかし、旅館業法第5条では、宿泊拒否の禁止を謳っている。水原さんは弁護士、保健所などに相談した。

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