三浦春馬さんへの「遅すぎた支持」が映す虚しさ ファン増、ネット沸騰、新曲ヒット、新作への期待

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あらためて、みなさんにすすめたいのは、「有名人や周囲の人々への称賛は倍に、批判は半分に、誹謗中傷はゼロに」というコミュニケーションスタンス。ネットが発達した今、有名になるほど、あるいは接触頻度の高いコミュニティほど、本人に厳しい声が伝わりやすいため、これくらいの割合がちょうどいいのです。

今もネット上には、「春馬くんを見られるとうれしいけど、心が苦しくなる」「春馬くんを見られる番組が減っていくのが本当に寂しい」「春馬くんを思わない日はないし、日に日に愛しさが強くなっている」「毎日、春馬くんの情報を探してコメントもたくさん読んでしまう」「このドラマが終わったあと本当にお別れのような気がして怖い」などの悲痛な声が上がっています。

いつ自分の大切な人がいなくなるかは予測できない

「1人の俳優が亡くなっただけ」と他人事の人もいるでしょうが、いつ自分の大切な人がいなくなってしまうのか、予測できないのが人生。家族、友人、知人、恩師、有名人……いずれにしても、喪失感や後悔の念に苦しめられないために、日ごろのコミュニケーションが重要なのです。

最後にふれておきたいのは、人々の悪意を増幅させるメディアの報道について。多くのメディアが部数やページビューを伸ばすために、人々の悪意を引き出すような記事で興味を引き、有名人たちを悩ませ続けてきました。しかし、そんな報道姿勢が人を深く傷つけ、時に命を奪うことにつながりかねません。さらに、「さんざん悪意むき出しでたたいておきながら、いなくなったとたん悪意の矛先を別の誰かに変える」というイジメのような報道も見かけます。

ネットメディアが一斉に報じ、SNSで一気に拡散されるなど、1つの記事が個人の人生を左右しやすい時代になりました。だからこそメディアは、人々の悪意を引き出すのではなく、凶悪犯以外は性善説をベースにした報道をしてほしいところです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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