「幼児でも数を理解できる」人間の脳が持つ能力 成長するにつれて小さな差を認識できるように

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この認識の仕方は、実は数量の違いを認識する仕組みにそっくりなのだ。赤ちゃんは、生まれたときからものの長さの違いを見分けられるし、2種類の音のうち、どちらがより長く続くかも聞き分けられる。人間は成長するにつれて、ものや時間の長さをうまく認識できるようになり、区別できる違いが増えていく。それでも、正確な値は測ってみなければわからない。

見分けられる対象を手がかりに脳が数量を判断する

目測の能力は、人間だけにあるものではない。サルはもちろん、ネズミと金魚も数量や長さの違いを認識できるし、このような処理を行う領域は、ほとんどの動物の脳にもあることがわかっている。では、数学についてまったく知識のない動物(人間をふくむ)が数量を把握できるのは、何によるのだろう。

それについては今のところ、こう考えている。人間が「大ざっぱな違い」を認識できるのは、ものや時間の長さの情報をもとに、脳が数量について判断をくだすからだ。何個あるかよりも、どちらが長いかのほうが一目でとらえやすい。長さや面積その他、見分けられる対象を手がかりに、脳はより抽象的な対象、つまり数量を処理している。なお、この考えの根拠には、脳はだまされやすいということがある。

わかりやすい例をあげよう。次の図を一瞬だけ見て、数えたりせずに黒い点が多い円を選んでほしい。

(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

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