米軍関係者「日本に何人いるか不明」という珍妙 出入国管理は緩いのに交付税の対象に含まれる

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外務省日米地位協定室の担当者に上記「通報」内容の詳細を尋ねたところ、「アメリカ側からは民間空港を利用した者も軍用機で降り立った者も区別なく通報を受けている。(種別の内訳に関する公開は)両国間で合意が得られていないので差し控える」と応じた。つまり、日本政府は合意議事録の定めに従って、アメリカ側から定期的に報告を受け、出入国の人数を把握していることになる。

アメリカ側から報告を受けた人数については、国会で公表を求められても「アメリカ側としても、やはり公表することは適切ではないとの立場に変わりはない」(2018年3月2日衆院財務金融委員会での船越健裕・外務省大臣官房参事官答弁)として公表していない。アメリカ軍関係者の出入国の人数は知っているが、国民には公表しないというスタンスだ。「安全保障上の観点から公表できないのは当然」と考えるか、「在日アメリカ軍の駐留経費は日本側負担だから、ある程度は公表して当然」と考えるか。そこは、国民の判断も分かれるだろう。

アメリカ軍関係者の人数も基にした交付税

「アメリカ軍関係者が日本国内に何人いるのか」という点について、日本政府はこの記事の冒頭で記したように「情報が提供されていない」と公式には表明している。

しかし、取材を進めていくと、ある事実が見えてきた。国から市町村に配分される地方交付税の算定基準には、それぞれの自治体に住むアメリカの軍人・軍属・家族らが含まれているのだ。地方交付税は「普通交付税」と「特別交付税」に分類されるが、その「普通交付税」の配分割合を決める算出式の中に「アメリカ軍の構成員、軍属及び家族で当該都道府県に居住する者の数」を入力する項目がある。つまり、在日アメリカ軍関係者の居住者数を含めたいくつもの指標を基に、国は毎年、都道府県や市町村に税金を分配してきたのだ。

では、普通交付税の分配を担当する総務省は、どうやって在日アメリカ軍関係者の数を把握しているのだろうか。同省交付税課の担当者に質問すると、次のような答えが返ってきた。

「防衛省地方協力課から毎年、(必要な情報の)提供を受けています。年度ごとに提供を受けているので、更新されているという理解です。そして総務省から都道府県、都道府県から市町村に人数が伝わって、それぞれ普通交付税の算定資料に入力してもらっています。普通交付税は市町村にも交付されるので、防衛省から提供された数字では、市町村別の人数がわかるようになっています」

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