米軍関係者「日本に何人いるか不明」という珍妙 出入国管理は緩いのに交付税の対象に含まれる
そもそも日本政府は国内に出入りする在日アメリカ軍関係者の数を把握できているのだろうか。日本国内でのアメリカ軍の地位などについて取り決めた日米地位協定によると、アメリカ軍関係者は出入国管理法の適用から除外されている。アメリカの軍属やアメリカ軍関係者の家族が日本に入国する際はパスポートが必要だが、軍人はアメリカ軍の身分証明書と旅行命令書を持てば入国要件を満たし、パスポートは不要だとの取り決めだ。そのため、日本側は入国するアメリカ軍関係者に対し、必ずしも検疫もできていない。
さらに、日米地位協定を適用されるアメリカ軍人・軍属やその家族らは、アメリカ本国からのチャーター便「パトリオット・エクスプレス」を使えば、成田空港など民間の空港を経由せず、在日アメリカ軍基地内に直接降り立つことができる。在日アメリカ軍司令部は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、公式サイトで「三沢、岩国、佐世保、沖縄に到着するための最良の方法はパトリオット・エクスプレスを経由することだ。これにより、最終目的地へ途切れなくたどり着くことができる」と日本の民間空港を回避した入国を促している。
基地に直接降り立った軍関係者の人数は含まれない
日本国内に出入りする邦人・外国人の数を網羅した法務省の「出入国管理統計」という資料がある。その統計には「(日米地位)協定該当者」の項目があり、アメリカの軍人、軍属、その家族の出入りの数を知ることができる。統計によると、2019年のアメリカ軍関係の入国者数は19万2075人だった。一方、法務省によると、この数には、アメリカ軍基地に直接降り立ったアメリカ軍関係者は含まれていない。
では、アメリカ軍関係者の出入国の人数を知ることはできないのだろうか。
ここで参考になるのが、日米地位協定に関わる「合意議事録」という日米両政府の合意メモだ。合意議事録は「日本国政府は、両政府間で合意される手続に従って、入国者及び出国者の数及び種別につき定期的に通報を受ける」としている。
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