ゴディバ「ショコリキサー」圧倒的に売れる魅力 1日1.2万杯、冷たいチョコドリンクが夏を癒す

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答えはかなり意外かもしれないが、佐賀県鳥栖市にある「鳥栖プレミアム・アウトレット店」だ。

アウトレットモールの「ショコリキサー」人気は高く、土日には長蛇の列ができることも。ショッピング途中に飲みながら歩いて回れることや、ベンチがある環境と開放感、「疲れたときに、甘くてちょっと贅沢なブランドのチョコドリンクを」という気分に絶妙にはまる感覚は、想像しやすい。御殿場プレミアム・アウトレットにある「ショコリキサー」専門店舗も、つねに売り上げ上位店となっている。

15年前に13店舗からスタート、今や販売店は150店舗となり、初年度から売り上げは70倍以上になった。振り返ると、高級ブランドイメージ一色だったゴディバを「ショコリキサー」が身近にし、夏に新しいチョコの楽しみ方を提案。若年層、ビジネパーソン、子どもや若いファミリー層などに向けて、新しいライフスタイルに応じたアプローチをしてきたことがわかる。

SNS映えするフォトジェニックさも

しかし奇しくも、ショコリキサー15周年にあたる今年はコロナ禍にある。休業を余儀なくされた店舗が多く、テイクアウト商品ゆえに夏は予想以上に大きな売り上げのダメージはないというものの、今年は昨年までと同じ動きにはならないだろう。そんな中でも7月は、金箔をのせたゴージャスな限定ショコリキサーを販売、SNSを大いに賑わせた。SNSの普及にあわせて、フォトジェニックさも受けている。

2020年8月、新宿西口店には10種類のバリエーションがあった。「すみっコぐらし」とのコラボレーションは子どもにもリーチした(筆者撮影)

ゴディバジャパン社長のジェローム・シュシャン氏は「ゴディバは、日本ではバレンタインを筆頭に贈答品としてご利用いただくことが多く、ヨーロッパのように自分用に買うお客様は多くありませんでした。ご自身のために気軽に、また夏にもゴディバを楽しんでいただきたい、という私たちの思いがショコリキサーの支持につながったと思います。冷たいこの1杯がくれる幸せは、私自身へのご褒美でもあります」と話した。

日本でここまでロングランヒットしたチョコドリンクは、ほかに見当たらない。いまや「ショコリキサー」は、チョコレート界で最も熱く、日本人の心をあたたかくするフローズンチョコレートドリンクといえそうだ。

市川 歩美 チョコレートジャーナリスト/ジャーナリスト

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いちかわ あゆみ / Ayumi Ichikawa

大学卒業後、民間放送局に入社、その後NHKで、長年ディレクターとして番組企画・制作に携わる。現在はチョコレートを主なテーマとするジャーナリストとして、日本国内、カカオ生産地などの各地を取材し、情報サイト、TV、ラジオなど多くのメディアで情報発信をしている。チョコレートの魅力を広く伝えるコーディネーターとしても活動。商品の監修や開発にもかかわる。

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