官邸発「ワーケーション」は働き方を変えるのか SNS上であがる反発の声、課題は時間の自由度

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――ワーケーションを認める企業側は、労務規定の修正に苦心するのではないでしょうか。

たなか・あつし/山梨大学大学院教授。横浜国立大学卒業後、JTBに入社。インバウンドなどの業務に従事し、社内で福利厚生系ベンチャーの起業に参加。JTB総合研究所を経て、2016年から現職(写真:本人提供)

新型コロナウイルスの影響により、リモートワークをする人が増えている中、働く場所は厳密に管理されなくなった。子どもがいるからと言って実家で働いていても、上司から怒られることはない。

また、疲れたから気分を替えようとカフェで作業をしていても、何も言われなくなった。働く場所の自由度は高まっている。

これに対して、時間の自由度はまだ厳格な部分がある。テレワークでも「何時から何時まで働いてください」と指示し、パソコンのアクセスログなどから出退勤をチェックするケースが多い。ワーケーション導入によって、企業は労務管理規定に対する考え方を変える良い機会になるかもしれない。

ワーケーションに反発の声も

――ワーケーションによって、労働者が不利益を被ることはないのでしょうか。

ツイッターなどを見ると、「休暇中にもかかわらず、働けと言われるのでは」などとアレルギー反応を示すコメントは多い。

ただ、世の中の管理職は、休暇中でも急な仕事があれば対応しているのが実情だ。すでに多くの労働者が「隠れワーケーター」となっている。ワーケーションは、休日に業務をこなしている労働者と企業の間で、業務を包含した休暇を正式に認め合う管理制度と考えるべきだ。

やりたい人は(ワーケーションに)チャレンジしてほしいし、プライベートと業務の時間は絶対混在させたくないという人はやらなければいい。(ワーケーションによって)ライフスタイルの自由度が高まるという解釈が一番適切だ。

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