「社会貢献するカリスマ経営者」ベニオフの素顔 会社は「価値観」で成長するかしないかが決まる
当時は、何度もベニオフさんから直接指導を受けました。今でも忘れられないのは、2004年にサンフランシスコの本社勤務だった頃のことです。
突然、ベニオフさんから営業スタッフたちに一斉メールが飛んできました。本当に小さな金額の、普通なら営業部長も気がつかないようなある商談について、担当者が「競合にロストした」という情報を入力したのですが、それについてすぐさま「なぜロストしたのかを説明しろ」と。
CEOがこんなに小さな金額の商談にまで目を配っているのかと驚くとともに、受注を逃した理由をしっかり自分で理解しておこうと考えていることがわかり、驚いたことを覚えています。
経営者の中には、中長期だけを集中的に見据える人、マイクロマネジメントで現場にだけ入ってくる人などいろいろなタイプがありますが、ベニオフさんは、高度を自由に変えられる人なのです。
とてつもなく高い場所から俯瞰して、世界の見通しと未来のビジョンを語っていたかと思えば、突然急降下して現場に降りてくる。その両方を柔軟に持ち合わせた姿からは、多くのことを学びました。
ベニオフのマシンガン・クエスチョン
私がサンフランシスコから日本支社に着任してからも、つぶさに鍛えられました。これは毎回のことでしたが、会うといきなり「いま顧客は何社だ? 先期は? 解約率は? 競合との差別化はどこでしている? 顧客の声はどうだ?」とマシンガンのように10も20も質問が飛んでくるのです。
回答すると、またそこを掘り下げた質問が飛ぶ。考えたり、資料を見る隙もありませんし、頭に入っていることを瞬時に答えるしかありません。
ですから私も、今度は何を質問されるだろうかと意識するようになり、改めて自分のビジネスを徹底的に理解しておこうと努力するようになりました。各国のマネジャーを集めた会議でも、矛盾点をすぐに見つけて鋭く指摘し、延々と質問し、「終わるまで、どこにも行かせない」といった、張り詰めたようなテンションに包まれていました。
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