豊肥線再開、「SL復活」で豪雨被災路線の応援を 肥薩線の列車走らせ観光振興に役立ててほしい
肥後大津―阿蘇間で長く運休が続いていたJR九州の豊肥本線が2020年8月8日、約4年4カ月ぶりに熊本―大分間の全線で運転を再開した。2016年4月16日未明に発生した熊本地震の本震により、スイッチバック駅として知られる立野駅付近が大きな被害を受けてしまったため、不通になっていたのだ。
私は運転再開当日、肥後大津からの一番列車となる5時44分発の豊後竹田行きに乗車。早朝にもかかわらず、試乗客を中心に多くの人があつまるシーンを見ることができた。また。観光特急「あそぼーい!」の発着時間帯には、公式な祝賀行事をはじめ、沿線で復旧を祝う姿があちこちにあった。
甚大な熊本地震の被害
しかし、熊本地震による交通関係への被害は甚大で、豊肥本線のほか、南阿蘇鉄道(立野―高森間)の立野―中松間が今も不通だ。こちらは2023年度の運転再開が目指されている。
鉄道ばかりではなく、道路も国道325号の阿蘇大橋が崩落するなど、随所で被害を受けた。道路の不通は鉄道の代行輸送にも影響を及ぼしていた。熊本市内と阿蘇方面を往来できるルートがごく限られてしまったため、東日本大震災のときなどに、各地で行われていたバスによる列車代行輸送が困難であったのだ。
実際には、朝夕に限られた本数のみ、肥後大津―阿蘇間の代行バスが運転されていたが、輸送力の不足から通学客が優先となっていて、一般客の乗車は困難であった。JR九州の公式サイトでも、この代行バスの案内は積極的に行われていなかった。
実質的に豊肥本線と南阿蘇鉄道の代替輸送機関は、熊本―阿蘇―大分間の長距離バス「やまびこ号」や、町村境を越えて肥後大津―立野―中松―高森間で運転されている南阿蘇村営バス「南阿蘇ゆるっとバス」などで、従来走っている路線バスが担う形であった。これらは鉄道のきっぷでは乗れず、所定の運賃が別途必要である。
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