豊肥線再開、「SL復活」で豪雨被災路線の応援を 肥薩線の列車走らせ観光振興に役立ててほしい

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肥薩線は八代―人吉―吉松間の長期不通が避けられない。そのため、この区間で運転されていたD&S列車「かわせみ やませみ」「いさぶろう・しんぺい」、そして「SL人吉」も運転不能となっている。

門司港―博多間で運転された肥薩線応援企画列車(筆者撮影)

JR九州では、これらの路線の復旧を急ぐとともに、”手が空いた”D&S列車の活用にも乗り出した。まずは、「かわせみ やませみ」と「いさぶろう・しんぺい」を連結した4両編成を、豊肥本線運転再開と同じ8月8日より11月末まで土休日を中心に、「肥薩線応援企画」として、門司港―博多間にて特別運転を行っている。

SL列車復活はあるか

これらの列車はやはりディーゼルカーであり、豊肥本線を走ることも可能だ。遊ばせておくのはもったいなく、本来のホームグラウンドが復旧するまでは、阿蘇山のふもとの観光振興に役立ててもらいたい。九州随一の大都市圏での運転により広くアピールした後は、熊本―阿蘇間での運転にも期待したいのだ。

特に人吉―吉松間でふだん運転されている「いさぶろう・しんぺい」のセールスポイントの1つが、途中の大畑駅、真幸駅でのスイッチバック。同じスイッチバック駅である立野を走る姿も見たい。

「SL人吉」こそ、今、阿蘇へのカムバックが望まれる。最初は「SLあそBOY」として、1988年より豊肥本線にて運転された列車であるからだ。2005年にいったん引退したが、後に肥薩線へ転じた経緯がある。このSL列車こそ、被災路線の応援列車として、復活した豊肥本線での運転がふさわしい。

天災および新型コロナウイルス感染症による影響は、JR九州の経営にも大きな影を落としている。その中で運転を再開した豊肥本線は、貴重な”資源”だ。ほかの観光資源との組み合わせを工夫する方向へと進むことであろう。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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