容赦なきトランプ「中国TikTok包囲網」の全内幕 ビル・ゲイツはマイクロソフトによる買収へ動く

✎ 1〜 ✎ 34 ✎ 35 ✎ 36 ✎ 最新
拡大
縮小

TikTok禁止は中国のテック企業を抑え込もうとするトランプ政権の新たな取り組みの始まりにすぎない。8月5日、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は「クリーンネットワーク」と呼ぶ計画を発表し、アメリカ市民のプライバシーと企業機密を保護し、通信事業者やアプリストア、アプリ、クラウドサービス、海底光ケーブルなどにおいて、中国の関与をすべて排除するようにと要求した。これはTikTokに続いて、中国のあらゆるアプリが禁止の脅威にさらされることを意味している。

TikTokは今、世界中で審査の対象となっている。オーストラリアは審査の動きについて明かした後、まもなく態度を明らかにし、「TikTokを禁止するべき証拠はない」と述べた。日本では一部の自民党議員のグループが、TikTokが「望ましくない方法で個人情報を漏洩すること」を防ぐために、法的な措置を講じるよう政府に促す提案書を9月に提出するという。

ロンドンに本社移転の計画も

海外で最大の市場であるインドで禁止され、まもなく第2の市場であるアメリカをも失おうとしている今でも、張一鳴はまだ諦めてはおらず、ヨーロッパに焦点を移し、最近、TikTokの本社をロンドンに置くことにした。しかし、バイトダンスの幹部に近しい人物が財新の記者に告げたところによると、7月にTikTokが香港での事業を停止した後、ヨーロッパ市場におけるTikTokに対する見方は微妙なものとなっており、ロンドンに本社を置く計画もいったんは中止されたという。

マイクロソフトへの売却も含めて、すべての悪い選択肢の中で最もましな結果に通じる道を探し求めて、張一鳴は努力を続けている。アメリカで大統領令が署名された日に、バイトダンスは大統領令をめぐってアメリカの裁判所に訴訟を起こす可能性について述べていた。

財新記者:関聡、張而弛、張琪
※「財新周刊」8月10日発売号のカバーストーリーより抄訳

「週刊東洋経済プラス」では同記事の拡大版を公開しています。
財新編集部

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT