アウディ「Q3」をあえて選ぶ理由が乏しい理由 革新性を感じられないアウディに未来はあるか
アウディは、欧州でEVの「e-tron」というモデルを発表しているが、これは全長が5メートル近く、全幅が1.9mを超える巨体で、価格も邦貨換算でおよそ1000万円からと大幅に高くなり、限られた富裕層向けといえる。
このように考えていくと、Q3とQ3スポーツバックをあえて選ぶ理由が、なかなか見つけられないのである。もちろん、外観や内装のデザインなどへの好みはある。Q3やQ3スポーツバックを選ぶことに消極的である必要がないのは、もちろんだ。
かつては明確な未来を示していたが…
アウディは、「技術による先進」の言葉を企業メッセージとして掲げ、4輪駆動車を舗装路で高速かつ安全に走らせる価値を1980年に「クワトロ(当時は車名)」で示し、世界にその存在を改めて明らかにした。また、フラッグシップセダンの「A8」では早くからオールアルミボディーの「ASF(アウディスペースフレーム)」を採用するなど、技術を背景に、軽量化や高速走行性能などに挑戦してきた歴史がある。
2000年代を迎え、電動化に力を入れe-tronという考えを明らかにした。2011年のドイツのフランクフルトモーターショーでは、「A2コンセプト」という日本の5ナンバー車ほどの大きさのクルマをEV化し、自動運転を採用する未来像を見せた。まさに、「技術による先進」という企業メッセージそのままの革新性に期待を抱かせたのである。
並行して、アーバン・フューチャー・イニシアティブというフォーラムを開催し、2030年の未来都市における暮らしと移動を考察する活動もはじめた。ドイツの自動車メーカーの中で、これほど明確に未来への模索を示した例はほかになかった。
ところが、その後いっこうに量産市販車の電動化や自動運転化が明らかにならず、メルセデス・ベンツやBMWのほうが積極さを見せるようになったのである。背景にあったのは、2015年のフォルクスワーゲンによるディーゼル排ガス不正問題であったかもしれない。フォルクスワーゲンに続いて、アウディの会長も逮捕される事態が起きている。
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