大手百貨店、4月反動減は想定より小幅 三越銀座店は、外国人観光客効果でプラスに
[東京 1日 ロイター] - 大手百貨店4社が1日に発表した4月既存店売上高(速報)は、消費増税に伴う駆け込みの反動減により、全社そろってマイナスとなった。ただ、3月の駆け込みが大きかったことを踏まえると、反動減は想定よりも小幅にとどまっている。
企業業績が好調なこともあり、夏のボーナスは増加が見込まれ、反動減の収束と併せ、7月頃の売上高プラス転化に期待している。
三越銀座店は4月もプラス確保
J.フロント リテイリング<3086.T>が運営する大丸松坂屋の4月売上高は前年比15.3%減となった。3月は36%増で、前回増税時の26%を大きく上回ったものの、4月は1997年時の17.5%減を下回る水準となった。「3月が大きかった分4月の落ち込みも大きくなるのではないかと懸念されたが、消費は底堅い」(Jフロント広報)という。
大丸松坂屋では、4月1―7日に22.4%減だった売上高は、8―14日に20.9%減、15―21日に11.5%減、22―28日に8.4%減と着実にマイナス幅が小さくなっている。
他の大手百貨店でも同様の傾向が出ている。
高島屋<8233.T>は同13.6%減(国内百貨店を含む18店舗)、セブン&アイ・ホールディングス<3382.T>傘下のそごう・西武は同11.4%減だった。
三越伊勢丹は、7.9%減と1ケタ台の減少にとどまった。旗艦店のひとつである三越銀座店は、外国人観光客の需要の支えもあり、1.1%増と前年を上まわった。三越銀座店の売上高に占める免税額は、4月に初めて10%を超えたという。
各社とも、宝飾や時計、海外ブランド品など高額品は20―40%減と大きく落ち込んだものの、主力の婦人服など衣料品は週を経るごとにマイナス幅が縮小。高島屋は、4月中旬から初めて全店規模で春のクリアランスセールを実施するなど対策を講じた効果も出たという。
<夏のボーナスに期待>
「購入商品の一品単価は下がっておらず、節約志向が高まっているようには感じられない」(三越伊勢丹HD広報)、「消費者の購買意欲は強い。増税による買い渋りはそれほど感じない」(高島屋広報)と、消費マインドについては、強気の見方が多い。
先行きについては、4月のベースアップが想定以上に広がったことに加え、夏のボーナスへの期待も高い。「97年よりも影響が小さい印象。7月頃にはプラスに転じていきたい」(Jフロント広報)、「首都圏の店舗でも、6月末までは反動減が残る可能性がある。ただ、施策を打つことで、少しでも早くプラスを目指す」(三越伊勢丹)としている。
日本百貨店協会が発表した3月全国百貨店売上高は、既存店ベースで前年同月比25%増と5カ月連続の増加となった。伸び率は、前回の消費増税前の97年3月の23.0%増を上回り、25年ぶりの高い伸びとなった。
なかでも、美術・宝飾・貴金属が約2.1倍となり、高額品への駆け込みが顕著だった。
*記事の体裁を修正して再送します。
(清水律子)
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