日経平均は今後「上下どっちの方向」に動くのか 全体相場の下落時に備える「王道投資法」とは?

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まず一つ目の参考企業は、アドソル日進(3837)だ。独立系ソフト開発会社で株価は5月20日に上場来高値2694円を付け、その後『モミ合い』になっている。

DX関連や新技術で市場を開拓する企業は強い

同社は自治体向けテレワ-クソリュ-ション「セキュア・ラップトップ」の販売を開始し、『テレワ-ク関連』銘柄のトップ企業群の一角に躍り出た。あらゆる産業において職場環境の改善に向けたDX(『Digital transformation』)への対応は喫緊の課題だが、日本の自治体のテレワ-クは驚くほど遅れている。例えば、理由はいろいろあるにせよ、コロナ関連情報を保健所がファックスでもやり取りしているのはその1例だ。

元々同社は、『IoT時代』の「サイバ-攻撃から身を守るセキュリティ無くしてIoTは成り立たず」と言う理念のもと、事業領域を広げて来た。提携先の米半導体企業ザイリンクス社だけでなく、衛星や航空機などのリアルタイムOSを開発するアメリカ企業との提携も長い。さらに産学連携を推進しており、今回の自治体向けソリュ-ションも立命館大学情報理工学部との協力の結果でもある。

8月6日に発表した2020年4~6月期(第1四半期)『決算』では、売上高34.3億円(前期比 +8.6%)、営業利益 3.4億円(前期比+17.8%)となり、第1四半期としては、過去最高を更新した。

もう一つはヤマシンフィルタ(6240)だ。同社は建機用油圧フィルタ-の『グロ-バルシェア』約70%を誇る作動油や潤滑油のろ過用フィルタ-などの製造販売会社である。2019年に国内有数のエアフィルタ-専門メ-カ-を完全子会社化したが、これは、建機用フィルタ-だけに依存しないヤマシンの戦略。早速エアフィルタ-部門で、合成高分子系ナノファイバ-技術が脚光を浴びている。これは同社が『新分野』への展開を図る革新的な技術と位置付けており、すでに大手アパレルメ-カ-等でも採用されている。実は、今回脚光を浴びたのが、その特性を生かしたマスクやインナ-シートの量産だ。

一般的なマスクフィルタに使用される化学繊維の繊維径は 約3マイクロメートルの平面(2次元)形状。だが、本製品は0.2~0.8マイクロメートルというナノサイズの繊維径が綿状の構造となっている。また主力の建機フィルタ-は、米キャタピラ-やコマツが徐々に厳しい状況となっている『中国市場』においても、現地企業に食い込み、ト-タルでは売り上げ増となっている。このように今後も、2本柱が『安定的』に伸びそうだ。

2社とも巨大企業ではないが、このようにDX関連や新技術で市場を開拓する企業は強い。全体相場がもし必ずしも芳しくなくなったとしても、新しい相場のなかで「王道投資」を実践すれば、恐れることは何もない。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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